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イソチオシアネート(isothiocyanate : ITC)

官能基としてイソチオシアネート基(-N=C=S)が結合した以下の様な化学構造を持つ化合物の総称。天然に100種類以上が存在するとされる。*1

イソチオシアネートの化学構造

大根キャベツクレソンのようなアブラナ科の野菜が持つ独特の辛味成分の一種。植物をすりおろした時に生ずる刺激性の強い成分。カラシ油辛子油)とも呼ばれる。イソチオシアネートは比較的加熱に強い成分のため、煮る・炒めるといった調理方法でも摂取できる。

イソチアシアネートの種類

イソチオシアネートには以下のような種類がある。

大根をすりおろすとイソチオシアネートが発生して辛味が出る。これは、すりおろす前の大根グルコシノレートとそれを分解する酵素であるミロシナーゼが含まれているため、それらが反応してイソチオシアネートを生ずるためである。

キャベツなどの辛みがない野菜にもグルコシノレート辛子油配糖体)という配糖体の形で含まれる場合もあり、これも消化の過程でイソチオシアネートに変化する。*2

ダイコンがすりおろされて均一化されますと、グルコシノレートミロシナーゼは、互いに接触して酵素反応が起き、イソチオシアネートが発生します。このような仕組みは、アブラナ科植物に広く認められ、ワサビやマスタードシードの辛味の発生もこの原理によります。*3

イソチオシアネートの健康効果

がんの予防効果がある物質として注目を浴びている。

実際に、イソチオシアネートにはがんのリスク低下に関与しているという研究結果が報告されている。

イソチオシアネートのガン予防の可能性については,1970年代後半から動物実験でデータが集積された。その後,疫学的研究からも,キャベツ,ハクサイ,ブロッコリーといったアブラナ科野菜の摂取は,様々な臓器での発がんリスクを軽減しうることが示唆された。さらに,最近の分子疫学研究から,尿中に排泄されたイソチオシアネートの代謝産物量と肺がん乳がんなどのリスク低下との間に有意な相関が報告された。*4

がん細胞アポトーシス誘導する作用がある。

*1岡山大学農学部学術報告 イソチオシアネートによるがんの化学予防の可能性: http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/0/9448/20160527184153576056/095_0087_0091.PDF
*2069:アブラナ科の野菜パワー [カラダを支える野菜&果物のおはなし] - Dole Japan, Inc.: https://www.dole.co.jp/5aday/about/column/column_069.html
*3ダイコンの辛さ | みんなのひろば | 日本植物生理学会: https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2985
*4イソチオシアネートによるがん予防の可能性 細胞増殖の選択的制御とその分子機構: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jems/26/3/26_3_253/_article/-char/ja/

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このページの最終更新日時: 2018-03-07 (水) 08:08:24