インスリン(insulin)

膵臓ランゲルハンス島に存在するβ細胞から分泌されるペプチドホルモン血糖値を下げる唯一のホルモンインシュリンとも。

糖尿病は、インスリンを分泌するβ細胞の不全または体にインスリン自体が効きにくくなるインスリン抵抗性によって起こる。

三大栄養素全ての代謝に関わる。

インスリンは,三大栄養素タンパク質糖質脂質)すべての代謝を調節する作用を有しており,栄養素の代謝を考える上で非常に重要なホルモンである.インスリンはタンパク質合成を促進し,分解を抑制することでタンパク質代謝に対して同化的に作用する.*1

インスリンの働き

肝臓筋肉(主に骨格筋)に作用し、血液中のグルコースを取り込んでグリコーゲンを合成する、取り込んだグルコースを直接エネルギー代謝に利用する(糖代謝)ほか、脂肪細胞に働いて取り込んだグルコースを材料として脂肪中性脂肪)の合成を促進して皮下脂肪として貯蔵させることによって血糖値を低下させる。*2*3

具体的には、インスリンインスリン受容体に結合すると内在性のチロシンキナーゼが活性化され自己リン酸化が起こる。そのリン酸化チロシンIRSが結合することでIRSチロシンリン酸化が起こり、PI3KAkt/PKBの活性化を介してGLUT4を細胞膜表面へ移行させてグルコースの取り込みを促進する。*4

取り込まれた血糖グリコーゲンとして貯蔵される。*5

肝臓にインスリンが作用すると、糖新生グリコーゲン分解が抑制され,解糖グリコーゲン合成が促進される。*6

タンパク質の合成、分解抑制にも関与する。*7

インスリンは特に食後に分泌量が増えるが、常に分泌され血液中に含まれる。

生体内におけるインスリンの分泌には、食後に一過的に分泌される追加分泌や空腹時にも微量に分泌される基礎分泌、そして15分程度の周期的分泌などがあり、血中インスリンの量は複数の時間波形成分からなることが知られている。また、糖尿病の初期では追加分泌量が減少する一方で基礎分泌量が増加することや、糖尿病患者では15分周期の振動成分が欠失していることが報告されている。*8

日本人は欧米人に比べてインスリン分泌量が少ないため、低いBMIでも糖尿病になりやすい。

*1イソロイシンの糖代謝調節作用と臨床応用の可能性 吉澤史昭: http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2015/01/86-03-07.pdf
*2鈴峯女子短期大学 糖質の栄養: http://www.suzugamine.ac.jp/arinobu/gakusyuu/toushitsu.pdf
*3首都大学東京 人間健康科学研究科 ヘルスプロモーションサイエンス学域 運動分子生物学研究室: http://www.comp.tmu.ac.jp/muscle/Kenkyuugaiyou-detail2.html
*4膵β細胞におけるインスリン抵抗性の分子メカニズム 昭和大学: http://www.showa-u.ac.jp/sch/pharm/showa_jour_pharm/back_number/frdi8b000000i5yu-att/2-2_Toshihiro_Tanioka.pdf
*5KAKEN — 研究課題をさがす | インスリンと運動が脳の血糖取り込みに及ぼす影響 (KAKENHI-PROJECT-16K13024): https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K13024/
*6埼玉医科大学学術誌 視床下部インスリン/レプチン抵抗性の分子機構と摂食・糖代謝調節
*7国立大学法人 長崎大学 物質代謝・異化と同化 物質代謝・異化と同化膵島ホルモン(インスリン・グルカゴン)糖尿病 メタボリックシンドローム: http://www-sdc.med.nagasaki-u.ac.jp/genetech/genkenbunshi/pdf/H24.1.19.pdf
*8細胞内シグナリングの多重通信システム - プレスリリース - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部: https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2012/21.html

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このページの最終更新日時: 2018-10-14 (日) 11:58:38