エンドトキシン(endotoxin) †
グラム陰性菌の細胞壁外膜を構成する成分であり、細胞外には分泌されない毒素。リポ多糖(リポポリサッカライド、LPS)や内毒素とも呼ばれる。
共有結合で結ばれた脂質と多糖類の複合体。細菌が生み出す毒素であり、毒性を示す物質は構成要素であるリピドA。
これに対し、細胞外に分泌される毒素をエクソトキシン(外毒素)と呼ぶ。通常、エンドトキシンはエクソトキシンに比べて弱い。*1
エンドトキシン (LPS) は、大腸菌などの細菌の細胞壁に存在する高分子で、細菌の死滅等で細胞壁が壊れると水溶液中に放出される。LPSは、水道水や蒸留水に普遍的に存在しており、LPSを含む溶液を注射溶液として投与すると、ナノグラムレベルでも発熱やショック死などの副作用を引き起こす危険性がある。*2
エンドトキシンはグラム陰性菌の外膜成分であり、その化学的本体は lipopolysaccharide(LPS)である。これに起因する重症敗血症の死亡率は 25-30% 、敗血症ショックでは 40-70% に達し、米国内だけでもこれによる死者が年間に数十万人にも達すると推定されている臨床上の重大な問題である。*3
発熱、炎症などを起こしたり、マクロファージを刺激して炎症性サイトカインの放出を引き起こす。血液中に入ったエンドトキシンはLBPにより細胞膜上のCD14に運ばれる。
LPSの存在下ではCD80陽性の単球が減少し、CD28/CD80を介したT細胞への補助シグナルが不十分になり、T細胞の活性化が抑制される。*4
敗血症や歯周病の原因となるとされ、多量に体内に入ると死に至る。
しかし、エンドトキシンに晒される機会が多いほどアトピー型喘息の発症が少ないことが報告されている。
細菌が産生する毒素(エンドトキシン : endotoxin)に曝される機会が多いほど、アトピー型喘息の発症が少ないとの報告があります。農村の子どもは都会の子どもよりも細菌に触れる機会が多いため、エンドトキシンに接触する機会が多く、アトピーになりにくいと解釈できます。*5
*2核酸溶液からのエンドトキシンの選択除去剤の開発: http://gender.kumamoto-u.ac.jp/kyoten/docs/press_release.pdf
*3武蔵野大学 エンドトキシン活性の強弱を調節する機構の解明 博士学位論文: https://www.musashino-u.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00001240.pdf&n=%E5%8D%9A%E5%A3%AB%E7%94%B2%E7%AC%AC18%E5%8F%B7%EF%BC%BF%E5%86%85%E5%AE%B9%E3%81%AE%E8%A6%81%E6%97%A8%E5%8F%8A%E3%81%B3%E8%AB%96%E6%96%87%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%81%AE%E8%A6%81%E6%97%A8.pdf
*4KAKEN — 研究課題をさがす | 歯周病におけるスーパー抗原の役割とその病因的意義 (KAKENHI-PROJECT-10671695): https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10671695/
*5ナツメ社 埼玉医科大学リウマチ膠原病院 教授 三村俊英 基礎からわかる免疫学
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