カフェイン(caffeine) †
中枢神経の興奮による覚醒作用および利尿作用があるアルカロイド。化学的にはプリン環を持つキサンチンのメチル化誘導体(1,3,7-トリメチルキサンチン)。
結晶は一水和物(C8H10N4O2・H2O)もしくは無水物の無水カフェイン(C8H10N4O2)として得られ、白色の針状または六角柱状で、無臭で苦みがある。*1
カフェインは小腸で吸収され、血液を介して全身を巡り脳にも到達する。アデノシン受容体(アデノシンA2A受容体)のアンタゴニストとして睡眠を阻害する。*2*3
頭痛薬、鎮咳去痰薬、感冒剤などにはカフェインが配合されているものがある。飲料では茶類やコーヒーに含まれる。茶類のほうがコーヒーよりカフェインの含有量が多いが、茶に含まれるタンニンがカフェインの吸収を押さえるため、吸収量としてはコーヒーの方が多くなる。*4
カフェインの効果は、妊娠中の女性に強くなる傾向があり、また胎児にも作用する。胎児は薬物を代謝する酵素を持たないため、カフェインの影響を強く受けることになる。
ニコチンはカフェインを分解する酵素を活性化するため、体内のカフェイン濃度が下がりやすくなる。*5
カフェインの作用*6 †
主な薬理作用は中枢神経興奮作用。その他には利尿作用や強心作用、胃酸の分泌促進、平滑筋の弛緩など。
カフェインの大量摂取は細胞死を誘発することが知られているが、適切な量であれば問題は起きないとされる。アラキドン酸はカフェインによる細胞死を促進する作用があることが確認されている。*8*9
健常人では、1 回摂取量が 200 mg 以内、1 日摂取量が 500 mg 以内、激しい運動を行う場合はその 2 時間以上前にカフェイン単回摂取量が約 200 mg までであれば、安全性の問題は生じていない。*10
カフェインの半数致死量(LD50)は 200 mg/kg。血液中のカフェイン濃度が 50 mg/L を超えると中毒症状が現れる。*11
致死量については諸家の報告で一致していないが,内服量としてはカフェイン量として約 5~10g,150~200mg/kg,血中濃度においては 70~80mg/l との報告がある。報告した症例の初診時カフェイン濃度は 113.4mg/l,77.6mg/l といずれも致死量に達していた。*12
重篤になると不整脈による死亡例がある。
*2睡眠覚醒調節の分子機構|研究内容|裏出研究室|筑波大学|国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS): http://urade.wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/ja/research/mechanism.php
*3広島大学 カフェインの科学:その生物学的作用について(もやっとした「気のせい」ではない): http://www.hiroshima-u.ac.jp/upload/85/gairon/point.pdf
*4「生とは何か」を追い求めて 生命環境系 桑山秀一研究室: http://www.life.tsukuba.ac.jp/topixarchive/interview_kuwayama_20120824.pdf
*5中央公論新社 中川恵一 知れば怖くない 本当のがんの話 (2017/1/15)
*6名城大学 薬学部 カフェイン,無水カフェイン,安息香酸ナトリウムカフェイン(安ナカ): http://www-yaku.meijo-u.ac.jp/Research/Laboratory/chem_pharm/mhiramt/EText/Diseases_Drugs/caffeine.htm
*731A-10 ジャスミン茶の抗肥満作用について - 国立国会図書館デジタルコレクション: http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10947475
*8筑波大学 過度のカフェイン服用が細胞死を引き起こす仕組みを発見: https://www.tsukuba.ac.jp/public/press/120814.pdf
*9「生とは何か」を追い求めて 生命環境系 桑山秀一研究室
*10日常生活の中におけるカフェイン摂取 作用機序と安全性評価
*11細胞や生体をストレス環境から守る分子に関する研究 | 研究紹介 | 奥羽大学: http://www.ohu-u.ac.jp/faculty/research/researchP11.html
*12東京女子医科大学東医療センター救急医療科 致死的大量服薬から救命し得た急性カフェイン中毒の2例: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaam/20/12/20_12_941/_article/-char/ja/
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