ストレス(stress)

肉体や精神にかかる負荷のこと。

人間がストレスを受けると、それに対するストレス反応が体の各部位で発生する。例えば、脈拍が速くなり血圧が上がるなどである。

ストレスによる身体への影響

過度のストレスによって生活習慣病の発症率の増加が確認されており社会問題となっている。胃潰瘍などの疾患や、への様々な悪影響が確認されている。

動物に共通する代表的なストレス反応は「視床下部-下垂体-副腎皮質ストレス反応系(HPA軸)」と呼ばれ、身体的・心理的ストレスを受けた場合は、この反応によって副腎皮質ホルモン分泌される。

副腎皮質から分泌される糖質コルチコイド分泌脳下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモンACTH)によって促進され、その ACTH分泌はさらに上位の視床下部室傍核副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンCRH)によって促進されるという、いわゆる視床下部-下垂体-副腎系と呼ばれる3段機構で調節されます。*1

このホルモンは、体の抵抗性を強める効果があるが、への悪影響(海馬の変性)などを引き起こすことが確認されている。

実際にラットを用いた実験においては、慢性ストレスと副腎皮質ホルモンの慢性投与のどちらもが学習能力(空間記憶?課題の成績)を低下させることが確かめられている。*2

大脳皮質前頭前野にも影響を及ぼし、高度な精神機能が阻害されることが確認されている。*3

長期間にわたる慢性ストレスは,神経細胞を萎縮させ,樹状突起の分岐を減らす.重篤化すると神経細胞の脱落も生じる.*4

ストレスがかかると、全体の神経からノルアドレナリンドーパミンなどの神経伝達物質が放出され、これらの濃度が高まると神経細胞間の活動が弱まり最終的には停止する。酵素によってこれらの神経伝達物質が分解されることでストレスから回復する。この酵素には個人差があるため、ストレス耐性は個人によって異なる。

ドーパミンノルアドレナリンによって高次認知に必要な前頭前野の回路が停止しても、通常はこれら神経伝達物質の分解酵素が働くため、機能停止は長くは続かず、ストレスが軽減すれば元の状態に戻ります。しかし、遺伝的にこれらの酵素の力が弱い人はストレスに弱いようです。*5

ストレス状態が長く続くと、大脳皮質前頭前野の萎縮やうつ病PTSDなどの症状が起こる。

さらに、慢性的なストレスにさらされると、扁桃体樹状突起神経細胞から枝状に伸びて信号を受け取っている突起)が拡大する一方、前頭前野樹状突起は萎縮します。ストレスがなくなれば、前頭前野樹状突起は再生しますが、ストレスが非常に強い場合には回復能力が失われます。前頭前野の萎縮は、過去のストレス体験と関連していることも分かってきました。ストレスによる内変化が生じると、以後のストレスに対してさらに脆弱になり、うつ病依存症心的外傷後ストレス障害PTSD)などの不安障害につながると考えられています。*6

*1浜松医科大学 ストレスホルモン放出機構の新しい経路を発見: https://www.hama-med.ac.jp/bd79e0634826e38ffeef3b8d62a622dc.pdf
*2ストレスによる脳への影響: https://www.tsukuba.ac.jp/public/booklets/forum/forum75/33.pdf
*3ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学: http://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/029758.html
*4急性ストレス時に帯状回で起こるシナプス変化とその分子メカニズムの解明 研究代表者 北條泰嗣 (医学部 生化学): http://www.saitama-med.ac.jp/jsms/vol43/02/jsms43_180_183.pdf
*5ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学
*6ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学

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このページの最終更新日時: 2018-01-01 (月) 09:14:52