ビタミンA(vitamin A)

上皮細胞皮膚粘膜角膜)の形成に関わる脂溶性ビタミンレチノイドとも呼ばれる。*1

酸化や乾燥、高温に弱い。ビタミンEのような抗酸化作用を持つ成分と共に存在することで安定性が上がる。*2

主に肝臓肝星細胞に蓄えられる。

ビタミンAの種類*3

ビタミンAにはビタミンA1レチノールなど)とビタミンA23-デヒドロレチノールなど)の2種類があるが、ビタミンA2を食べる機会は少ないので、ビタミンAと言えば普通はビタミンA1の方を指す。*4

動物性食品からはレチニルエステルとして、植物性食品からはβ-カロテンなどのプロビタミンAとして摂取される。

ビタミンAの働き

視物質ロドプシンなど)の構成要素であり、結膜角膜分化や機能維持にも関わるため、不足するとの機能異常が起こる。乳幼児ではドライアイ、悪化すると失明、成人では夜盲症の原因となる。*5*6

細胞の増殖や分化の制御や遺伝子発現制御などに必要であるため、欠乏によって成長停止が起こる。*7

マウスの実験では、ビタミンAの不足によって近位結腸粘膜TNF-αが多く発現し、腸間膜リンパ節樹状細胞の機能の異常によってIL-13を多く産生して炎症を起こすT細胞が増えることが報告されている。*8

脂肪細胞分化の抑制作用や抗酸化作用(自身は酸化されやすい)を持つ。*9

精子の生成(精子幹細胞分化)に必要。*10

欠乏により生殖?不能、免疫力の低下、夜盲症眼球乾燥症、成長停止等が起こることが、過剰により頭痛吐き気皮膚の変化等が起こることが、それぞれ知られている。*11

肝臓内に蓄えられているビタミンAの量が 20 μg/g 未満となると欠乏症が現れる。*12

ビタミンAの食事摂取推奨量*13

ビタミンAには様々な種類があるが、計算の便宜上、レチノール活性当量RAE)に変換される。

年齢(歳)性別ごとの推奨量(μgRAE/日)
男性女性
1~2400350
3~5500400
6~7450400
8~9500500
10~11600600
12~14800700
15~17900650
18~29850650
30~49900700
50~69850700
70~800650

耐容上限量は2700μgRAE/日。*14

推定平均必要量の基準値である 9.3 μgRE/kg 体重/日と基準体重から概算すると、18歳以上の成人男性のビタミンAの推定平均必要量は 550~600 μgRE/日、18歳以上の成人女性は 450~500 μgRE/日となる。これに必要量の個人間変動に関する変動係数を 20% と見込むと、成人男性の推奨量は、800~850 μgRE/日(≒550~600×1.4)、成人女性は、650~700 μgRE/日(≒450~500×1.4)となる。*15

ビタミンAの過剰症

ビタミンAを過剰摂取すると、血液中のレチノイン酸の濃度が上昇するため、症状は主にレチノイン酸によるものとされる。

現れる中毒症状は脳圧更新による頭痛腹痛悪心嘔吐めまい過敏症など。慢性化すると皮膚の乾燥や落屑、脱毛関節痛み骨粗鬆症筋肉痛食欲不振体重減少、肝脾腫など。妊婦においては胎児催奇性?が報告されている。*16

βカロテンなどのカロテノイドからビタミンAを体内で生成した場合は過剰症が起きにくいとされる。

ビタミンAを含む食品*17

一種類の身近な食品で、レチノール活性当量が 500μgRAE となる量(小数点以下は四捨五入)。

食品名500μgRAEとなる量(g)
豚スモークレバー3
アマノリ(乾し海苔)14
アマノリ(味付け海苔)19
ホタルイカ(ゆで)26
ギンダラ(水煮)26
うなぎ(蒲焼き)33
にんじん(油炒め)50
バター63
ほうれん草(油炒め)79
卵黄(生)104
*1KAKEN — 研究課題をさがす | レチノイドによる肝線維化抑制効果に関する研究 (KAKENHI-PROJECT-05770350): https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05770350/
*2かんき出版 安田和人 あなたに必要なビタミンを教えます(1995/3/22)
*3厚生労働省 ビタミンA: http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4i.pdf
*4鈴峯女子短期大学 ビタミンの栄養: http://www.suzugamine.ac.jp/arinobu/gakusyuu/vitamin.pdf
*5色覚の多様性と視覚バリアフリーなプレゼンテーション | 第1回 色覚の原理と色盲のメカニズム: https://www.nig.ac.jp/color/barrierfree/barrierfree1-3.html
*6ビタミンA | 海外の情報 | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業: http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/13.html
*7KAKEN — 研究課題をさがす | 肝臓星細胞のビタミンA取り込みの分子機序の解明 (KAKENHI-PROJECT-13770030): https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13770030/
*8KAKEN — 研究課題をさがす | ビタミンA摂取が腸管免疫バランスを制御する樹状細胞の機能発現に与える影響 (KAKENHI-PROJECT-23780148): https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23780148/
*9信州大学 農学部 動物栄養学 (第5回:栄養素の化学Ⅳ:ビタミンとミネラル): http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/agriculture/lab/ueno/archives/img/animnutr_resume1605.pdf
*10プレスリリース - 精子幹細胞が尽きることなく精子を作り続けるメカニズム 〜分化する細胞としない細胞はどのようにして決まるのか?〜: http://www.nibb.ac.jp/press/2015/04/28.html
*11文部科学省 食品データベース ビタミン: https://fooddb.mext.go.jp/nutman/nutman_05.html
*12厚生労働省 ビタミンA: http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4i.pdf
*13日本人の食事摂取基準(2015年版)スライド集: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000056112.html
*14西東社 カラー図解 栄養学の基本がわかる事典 川島由起子(2013/4/4): https://amzn.to/2tzGwYt
*15厚生労働省 ビタミンA: http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4i.pdf
*16内閣府 食品安全委員会 ビタミンAの過剰摂取による影響: http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-vitamin-a.pdf
*17文部科学省 食品データベース: https://fooddb.mext.go.jp/

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このページの最終更新日時: 2019-02-27 (水) 19:26:24