ピロリ菌(Helicobacter pylori) †
世界人口の約半数に感染しているとされる、螺旋形のグラム陰性菌。正式にはヘリコバクター・ピロリと呼ばれる。
胃の出口である幽門でよく見つかる。免疫が弱い幼少期に食事を介して感染し、胃に住み着く。酵素のウレアーゼを産生し、これによって胃の中の尿素からアンモニアを発生させる。
慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの原因となる。ピロリ菌が宿主のコレステロールを取り込んだ後、菌内で糖と脂質を付加することで胃炎を誘導する特有の糖脂質であるα-コレステリルグルコシドを作り出すことが報告されている。*1
国内では1990年代に40代の60%に感染していたが、現在は衛生環境が良くなったことから20%近くまで低下している。これによって胃がんの罹患率も半減している。しかし、60歳以上では70%以上が感染していると見られており、現在でも国内最大の感染症であるとされる。*2
塩分の過剰摂取によってピロリ菌による胃粘膜の炎症が進み、胃がんを発症しやすくなる。
ピロリ菌のLPSはTLR2とTLR10のリガンドとなるため、これらの発現が多い人ほど胃がんの発症率が高いことが報告されている。*3
*1東北大学大学院工学研究科「ピロリ菌の増殖を抑制するオリゴ糖の大量合成に道」: https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press_20110208_2.pdf
*2中央公論新社 中川恵一 知れば怖くない 本当のがんの話
*3札幌医科大学医学部微生物学講座 永島裕之 Helicobacter pylori LPS は TLR2/TLR10 に認識される: https://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/seikagaku_seitaibogyo/jeiis/pdf/No20/No20-4-06.pdf
*2中央公論新社 中川恵一 知れば怖くない 本当のがんの話
*3札幌医科大学医学部微生物学講座 永島裕之 Helicobacter pylori LPS は TLR2/TLR10 に認識される: https://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/seikagaku_seitaibogyo/jeiis/pdf/No20/No20-4-06.pdf
ご意見・ご要望をお聞かせください。
ピロリ菌に関する情報を検索
この用語を編集/画像添付
このページの最終更新日時: 2021-12-03 (金) 06:39:27