大豆イソフラボン(soy isoflavones) †
大豆(大豆胚芽)に多く含まれる複数のフラボノイドの総称。ファイトエストロゲンのひとつ。乾燥大豆1粒あたり0.2~0.3%程度含まれる。*1
化学構造が女性ホルモンのエストロゲンに似ているため、エストロゲン様の作用を持つ。骨粗鬆症の予防や更年期障害の軽減、がんの予防などに有用とされる。*2
豆腐や納豆などの大豆製品に含まれる「イソフラボン」には、乳がんや前立腺がんを防ぐ効果があり、イソフラボンの摂取が多い人では発症が少ないとのデータもあります。欧米に比べて日本人にこれらのがんが少ない理由の1つが、1人あたりの大豆消費量が世界有数である点なのかもしれません。*3
大豆イソフラボンは、その多くが配糖体(ゲニスチン、ダイジン、グリシチン)として存在する。これらは体内で非常に短時間で大豆イソフラボンアグリコンと呼ばれる3種類の非配糖体(ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテイン)となり吸収される。*4
上記の配糖体のアセチル化体とマロニル化体も大豆イソフラボンに分類されるため、計12種類の化合物が大豆イソフラボンとして扱われる。
味噌や醤油などではアグリコンであるダイゼインやゲニステインの割合が多く、逆に豆腐では配糖体の割合が多いことが知られている。*5
これらの含有量は、大豆の部位や調理法によって変化する。
大豆の部位や加工法によって,イソフラボン類の含有量の比率は大きく異なり,例えば,胚芽部では高い比率でグリシチンが存在します。豆腐や豆乳のように大豆を煮るとマロニル化配糖体の比率が減少し,きな粉のように大豆を焙煎したり焼いたりすると,アセチル化配糖体の比率が増加します。また,発酵処理や酵素処理を行うとアグリコンの比率が増加します。*6
化学構造がエストロゲンに似ているため、エストロゲンの受容体に結合する。これによってエストロゲンのような働きをすると考えられている。
*2http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/bitstream/2297/6234/1/ogawa-070317.pdf
*3中央公論新社 中川恵一 知れば怖くない 本当のがんの話 (2017/1/15)
*4国立大学法人 旭川医科大学 抗酸化機能分析研究センター: http://food-db.asahikawa-med.ac.jp/index.php?action=docu&id=61
*5日本食品科学工学会誌 技術用語解説 エクオール 田村基: https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/57/11/57_11_492/_article/-char/ja/
*6日本食品分析センター 大豆イソフラボン類について: http://www.jfrl.or.jp/jfrlnews/files/news_no42.pdf
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