樹状細胞(dendritic cell : DC)

抗原提示細胞のひとつ。単球から分化してできる白血球で、T細胞分化や活性化・不活性化の制御などを行う。大きさは20〜50μmと大型。欠点は数が少なく寿命が短い(数日)こと。*1

1973年にアメリカのラルフ・マーヴィン・スタインマン(Ralph Marvin Steinman)によって発見され、組織に結合したときに木の枝状の突起を伸ばすことからその名が付けられた。*2

樹状細胞が抗原病原体など)を捉えると、それを食作用により取り込み細胞内で分解して、その抗原タンパク質の断片(ペプチド)を細胞表面に出す。その後、リンパ節などの組織に移動し、その抗原を認識できるT細胞との合流を図る。認識できるT細胞に合流できたら、抗原T細胞に提示してT細胞を活性化する。*3*4

HLAクラスⅡ分子を恒常的に発現している。抗原特異的なナイーブヘルパーT細胞は、抗原を取り込んだ樹状細胞HLAクラスⅡ分子と共にペプチドの形で抗原提示を受けて活性化される。*5*6

樹状細胞によって活性化されたT細胞は、その樹状細胞表面のMHCクラスⅡ分子発現量を低下させることで過剰にナイーブT細胞が活性化されるのを防ぐネガティブフィードバック機構を有することが示唆されている。*7

がん細胞抗原を提示するのはマクロファージではなく主に樹状細胞による働きであることが確認されている。*8*9

転写因子であるGATA2が、造血幹細胞から樹状細胞への分化に関わっており、GATA2遺伝子の異常は骨髄異形成症候群急性白血病などの免疫不全症の原因となるとされる。*10

異物である抗原細胞内に取り込んで加工し,MHCクラスⅡ分子MHCクラスⅠ分子上に抗原ペプチドを載せ,ヘルパーT細胞キラーT細胞に提示することで免疫応答を開始させる,組織にくまなく分布する重要な細胞.この細胞表面上に制御性MHCクラスⅠ受容体であるPIR-B発現する.*11

樹状細胞の成熟*12

末梢組織に局在する未成熟の樹状細胞(細菌などの病原性抗原を取り込んだことのない)は、ファゴサイトーシスエンドサイトーシスによる細胞外からの物質取り込み能が高く、周囲に存在するタンパク質などを絶えず取り込んでいるが、細胞表面への発現は少なく抗原提示能は低い。

しかし、病原性の抗原を取り込むと、病原体由来成分がToll様受容体TLR)を刺激するため樹状細胞は活性化(成熟)され、細胞表面のMHCクラスⅡ分子およびCD40CD86といった共刺激分子発現量が上昇し、樹状細胞は高い抗原提示能を持つようになる。

樹状細胞の種類*13*14*15*16

樹状細胞は存在する組織リンパ球との関わりによって以下のように分類される。

通常の樹状細胞を古典的樹状細胞と呼んで他と明確に区別する場合がある。

*1市民公開講座 からだをまもる免疫の研究 樗木俊聡 東京医科歯科大学難治疾患研究所生体防御学分野: http://www.tmd.ac.jp/mri/koushimi/shimin/ooteki.pdf
*2東邦出版 星野泰三 吉田朋子 共著 がんのプレシジョン免疫学(2017/8/21)
*3技術評論社 桂義元 免疫はがんに何をしているのか? 見えてきた免疫のメカニズム 2016/12/25
*4NHK高校講座 | 生物基礎 | 第28回 適応免疫 (2): https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/seibutsukiso/archive/resume028.html
*5「樹状細胞:免疫の監視細胞」稲葉カヨ「樹状細胞とは一口に言うと、どのような細胞?」: http://www.jsi-men-eki.org/general/qa_pdf/inada.pdf
*6濾胞性T細胞による抗体産生の制御 アレルギー疾患病因への関与とその機構 ベイラー免疫研究所 堀内周 上野英樹: https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/64/6/64_802/_pdf
*7岡山大学 生体応答制御学 樹状細胞による抗原提示: http://www.pharm.okayama-u.ac.jp/lab/meneki/research/dc/
*8東邦出版 星野泰三 吉田朋子 共著 がんのプレシジョン免疫学(2017/8/21)
*9西東社 カラー図解 免疫学の基本がわかる事典 鈴木隆二(2015/6/3): https://amzn.to/2SW7bg
*10免疫細胞である樹状細胞の分化メカニズムの解明 転写因子 GATA2 は樹状細胞の分化を制御する: https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20160615_04web.pdf
*11東北大学加齢医学研究所 遺伝子導入研究分野 キラーT細胞のはたらきを調節する受容体分子を発見: https://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2008/20080909.pdf
*12樹状細胞における細胞表面 MHC-II 分子の発現制御機構 古田和幸: http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2014/08/86-01-10.pdf
*13東邦出版 星野泰三 吉田朋子 共著 がんのプレシジョン免疫学(2017/8/21)
*14「樹状細胞:免疫の監視細胞」稲葉カヨ「樹状細胞とは一口に言うと、どのような細胞?」: http://www.jsi-men-eki.org/general/qa_pdf/inada.pdf
*15西東社 カラー図解 免疫学の基本がわかる事典 鈴木隆二(2015/6/3)
*16熊本大学学術リポジトリ 高橋潔 樹状細胞の発生、分化と成熟: http://reposit.lib.kumamoto-u.ac.jp/handle/2298/10436

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このページの最終更新日時: 2019-11-25 (月) 09:27:52