健康用語WEB事典

(ふん)とは、消化管を通過した食物の残渣、消化液分泌物、剥離した腸管上皮細胞、および多数の腸内細菌などから構成される排泄物の総称である。*1 ヒトをはじめとする動物において、の性状や排便の回数、状態の変化は、消化器系の機能や全身の健康状態を反映する重要な臨床的標となる。*2

ヒトの水分含有量は通常約70から80パーセント程度であり、残りの固形分のうち約3分の1から2分の1程度が腸内細菌菌体およびその死骸で占められている。*3 残りの固形分には、消化吸収されなかった食物繊維などの残渣、胆汁酸代謝物、タンパク質脂肪などが含まれる。*4 の色調は主に胆汁色素であるビリルビン内で細菌によって還元されて生じるウロビリノーゲンおよびその誘導体に由来しており、正常な状態では褐色を示す。*5 の匂いは、腸内細菌によるタンパク質腐敗分解やアミノ酸代謝によって産生されるインドールスカトール硫化水素アンモニアなどのガス成分に起因している。*6

医学および臨床検査の分野において、の検査は便反応、寄生虫病原性細菌の検出、腸内フローラの解析など多岐にわたる的で実施される。*7 特に大腸がんの早期発見を的とした便潜血検査は、無症状の集団を対象としたスクリーニング検査として広く普及しており、消化管内での出の有無を簡便に調べるために用いられる。*8 また、感染症の診断においては、下痢などの消化器症状を示す患者のからノロウイルスロタウイルスなどのウイルス、あるいはサルモネラ属やカンピロバクターなどの細菌を分離・同定することが行われる。*9

さらに、現代の医学研究においては、を用いた腸内フローラの構成解析が盛んに行われている。*10 ヒトの腸管内には数千種類、数兆個に及ぶ微生物共生しており、これらが宿主免疫系の調節、代謝機能、さらには中枢神経系の機能にも影響を与えていることが明らかにされつつある。*11 これに伴い、特定の疾患における腸内細菌叢の変化に関する研究や、健康なドナーのから精製した腸内細菌叢を患者の消化管移植する糞便微生物叢移植FMT)といった新しい治療法の臨床応用が進められている。*12

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このページの最終更新日時: 2026-08-15 (土) 13:20:10