終末槽 †
終末槽(しゅうまつそう、Terminal cisternae)とは、骨格筋の筋小胞体において、T管(横行小管)に隣接して存在する袋状の膨大部のことである。*1
骨格筋細胞内において、筋小胞体は筋線維を取り囲むように発達した膜系オルガネラであり、その構造内にはカルシウムイオン($Ca2+$)を高濃度で貯蔵する機能備わっている。筋小胞体は筋節(サルコメア)の構造に対応して様々な部位に分化しており、そのなかでもT管を挟むように両側に配置された扁平な袋状の領域が終末槽と呼ばれる。T管と、その両側を取り囲む2つの終末槽が組み合わさった特殊な構造は三連構造(トライアド)と称され、骨格筋の興奮収縮連関において極めて重要な役割を果たしている。*2
神経筋接合部を介して運動神経からの興奮が筋膜に伝達されると、その活動電位はT管の細胞膜伝播を通じて細胞内部へと急速に伝えられる。T管の膜電位の変化は、そこに存在する電位依存性のジヒドロピリジン受容体によって感知される。この受容体は、隣接する終末槽の膜上に存在するリアノジン受容体($Ca2+$チャネル)と機械的または機能的に連関している。T管の興奮が伝わると、終末槽の膜に埋め込まれたリアノジン受容体が開放され、終末槽内に高濃度で貯蔵されていたカルシウムイオンが筋形質(細胞質基質)内へと受動的に大量放出される。*3
終末槽から筋形質へと放出したカルシウムイオンは、アクチンフィラメント上に存在するトロニンなどの調節タンパク質に結合する。これにより、アクチンとミオシンの相互作用を阻害していた構造が変化し、クロスブリッジが形成されて筋収縮が引き起こされる。筋収縮が終了した後は、終末槽の膜上に豊富に存在するカルシウムポンプ(SERCA)の働きによって、筋形質中のカルシウムイオンは再び終末槽内へと能動輸送され、筋小胞体内に再取り込みされる。このカルシウムイオンの素早い回収と貯蔵のサイクルにより、骨格筋の円滑な弛緩と次なる収縮への備えが可能となっている。
*2南山堂 医学大辞典 第20版: https://kotobank.jp/word/%E7%B5%82%E6%9C%AB%E6%A7%BD-75571
*3生物学辞典 第5版: https://kotobank.jp/word/%E4%B8%89%E9%80%A3%E6%A7%84-95493
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