健康用語WEB事典

絶食

絶食とは、一定の期間にわたり一切の食物の摂取を断つ生理的状態、あるいは医療や宗教などの的で食事を意図的に控える行為をす言葉である。*1

医学的な文脈において絶食は、消化管の安静を保つことや、外科手術の際に麻酔中の誤嚥嘔吐といった合併症を防ぐ的で実施される。*2 特に全身麻酔を用いた手術の前には、内容物の逆流および気管内への誤嚥リスクを最小限に抑えるため、固形物だけでなく水分の摂取制限も含めた厳格な絶食管理が行われる。*3 消化器系の疾患、例えば腸閉塞急性膵炎などの診断・治療においても、消化管への負担を軽減し治癒を促進させるための有効な臨床的介入として絶食が選択されることがある。*4

生体絶食状態に置かれると、外からの栄養素の供給が断たれるため、体内に蓄えられたエネルギー源を利用する代謝の変動が生じる。*5 絶食の初期段階では、肝臓に貯蔵されていたグリコーゲンが分解されてグルコースとなり、主要なエネルギー源として消費される。*6 しかし、グリコーゲンの貯蔵量は限られているため、絶食時間がさらに延長されると、糖質の新生や脂肪組織からの脂肪酸の動員、さらには筋肉等の蛋白質を分解してアミノ酸を供給する糖新生が亢進する。*7 長期間の絶食状態が継続すると、などの中枢神経系のエネルギー源を補うためにケトン体の産生が活発化し、中のケトン体濃度が上昇するなど、エネルギー代謝の大きな適応現象が引き起こされる。*8

このように、絶食は臨床医学の現場における治療や検査の安全性確保に不可欠な段であると同時に、生体が栄養飢餓状態に適応する仕組みを理解する上で重要な生理学的現象である。*9 一方で、医学的な管理を伴わない過度な絶食や長期間の食事制限は、栄養失調や電解質異常、臓器機能の低下といった健康被害をもたらすおそれがあるため、その実施や管理には十分な専門的知識と慎重な判断が求められる。*10

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このページの最終更新日時: 2026-08-15 (土) 18:20:09