脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor : BDNF)

神経栄養因子マイオカインのひとつ。神経細胞の発生や成長、再生、シナプスの形成などに関わるタンパク質TrkB受容体リガンド

神経細胞の発達期および損傷後の生存および可塑性に対する強力な作用を有し、主に神経細胞によって産生されると考えられている。in vitroでは活性化したT細胞B細胞単球などの炎症細胞からも分泌されることが報告されている。*1

実際に、大脳皮質運動野の損傷に伴って破壊された皮質脊髄路の再生を脳由来神経栄養因子が促進していることが確認されている。

片側の大脳皮質運動野を損傷すると、運動をつかさどる皮質脊髄路(ひしつせきずいろ)が破壊され、反対側の半身(対側)の前後のに重い運動障害が引き起こされますが、徐々に運動障害は回復します。その際、損傷されていない側の皮質脊髄路を調べてみたところ、その皮質脊髄路脊髄内で新たな神経回路を形成して、運動機能を回復させることを発見しました。また、脊髄内で発現する神経栄養因子BDNFが、この新しい回路の形成を促していることが分かりました。*2

その他にも学習や記憶情動、摂食、糖代謝にも関わるとされる。視床下部腹内側核から分泌される脳由来神経栄養因子はレプチンコレシストキニンの下流で摂食を抑制する。*3

運動(筋肉の収縮)によって分泌量が増加することや、アルツハイマー病の患者は分泌量が少ないことなどが確認されている。*4

脳由来神経栄養因子が増えると海馬が大きくなり、うつ病アルツハイマー病の予防に効果があることが示唆されている。*5

IL-6と同様に、AMPKの作用を増強してアセチルCoAカルボキシラーゼの働きを抑制し、アシルCoAミトコンドリア内への移送を増加することで脂肪酸β酸化を促進する。*6

*1日本薬理学雑誌 多発性硬化症における免疫病態とグラチラマー酢酸塩(コパキソン<sup>®</sup>皮下注20 mgシリンジ)の免疫調整作用 横山和正 服部信孝: https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/148/2/148_105/_article/-char/ja/
*2脳の障害による麻痺が自発的に回復するメカニズムを解明 ―脳神経疾患後遺症に対する治療法の開発に光― — 大阪大学: http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/ResearchRelease/2012/04/20120402_1
*3中枢性摂食調節機構について 空腹・満腹のメカニズム 太田一樹(管理栄養学科・教授): http://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20170530175924.pdf?id=ART0009880
*4脳由来神経栄養因子(BDNF)の役割と運動の影響: http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/handle/2324/13951/p049.pdf
*5久野譜也 寝たきり老人になりたくないなら大腰筋を鍛えなさい 10歳若がえるための5つの運動
*6広島女学院大学論集 運動負荷とエネルギー代謝調節機構: http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/hju/detail/1018420120316093504

脳由来神経栄養因子に関する情報を検索
[学術機関を検索] [政府機関を検索]


コメントはありません。


このページの最終更新日時: 2019-05-25 (土) 11:50:02