閃輝暗点(scintillating scotoma) †
視界の一部に起こる異常。閃光暗点とも呼ばれる。片頭痛の前兆として起こる。
閃輝暗点の特徴 †
目の前で光が明滅してるように見える、視野の一部が欠けて見える、円形のギザギザしたものが現れるなどの視覚の異常が現れる。
閃輝暗点が発生した後に片頭痛が起こることが多く、片頭痛の前兆と言える。しかし、片頭痛が起こる前に必ず閃輝暗点が起こるわけではない。
注視点の片側に小さな視野の欠損部が現れ、それが次第に拡大して、片側の視野の広い部分に入った物体が見えなくなる。視野の欠損部(暗転)の辺縁がジグザグ状で輝いている。閃輝性暗点は5〜10分で最大になり、約20分間続く。... 片頭痛の前兆として「閃輝暗点」も知られているが,実際に前兆があるのは片頭痛の患者さんの1-2割に過ぎない。*1
視界の欠損は異常が起きた脳の側と反対側に起こる。例えば、左脳に起こると右の視野が欠ける。*2
閃輝暗点は脳の損傷や病気によるものではないため、通常は10〜20分程度で消えることが多く、頭痛も1日以内に治まる。頭痛が長引くようであれば、他の病気が原因の恐れがあるため頭部の精密検査をすることが勧められる。
閃輝暗点の原因 †
閃光暗点は大脳の中で、視覚を司っている視中枢で発作的に一時的な貧血(血流の減少)がおこるためだといわれています。現在はまだ閃光暗点をおこすような非常に狭い範囲の血流を正確に測定できないので、これはまだ仮説ですが、まず間違いのないこととして内科医、眼科医の間で受け入れられています。脳梗塞、脳出血などといった、重篤な病変のないことも知られていますので、一安心です。... 貧血のため大脳組織は一時的に酸素欠乏になりますが、組織の破壊がないので、後遺症はありません。*3
この貧血が起こる原因としては、ストレス、栄養不足、コーヒーの飲み過ぎ、煙草などがあるとされる。
また、大脳皮質拡延性抑制によって生じる可能性が示唆されている。*4
MRIによる解析では、後頭葉の一次視覚野や二次視覚野、視放線、舌状回、紡錘状回が関連するとされる。*5
グルタミン酸輸送体であるGLT-1遺伝子が閃輝暗点の感受性に関与することを動物実験で確認されている。グリア細胞の失調に伴うグルタミン酸体代謝異常が閃輝暗点の感受性を決定するとされる。*6
閃輝暗点が起きたときの処置 †
横になって安静にする。脳への血流が悪くなっている可能性があるので、できるだけ横になるのが良い。
もし症状が長引くようであれば、病院で診察してもらう。
*2関西医科大学第9回市民公開講座 頭痛について 伊東秀文(関西医科大学附属滝井病院神経内科助教授): http://www2.kmu.ac.jp/openSeminar/open09/05itouh.html
*3三島眼科医院発行 眼の健康ジャーナル 閃光(閃輝)暗点の話: http://www.mishima-ganka.com/_userdata/sen.pdf
*4脳循環代謝第23巻第2号 大脳皮質拡延性抑制による脳微小循環の反応 高速度カメラ共焦点レーザー顕微鏡を用いた毛細血管内赤血球速度の評価 畝川美悠紀: http://cbfm.mtpro.jp/journal2/contents/assets/023020147.pdf
*5静的量的視野検査により確認された閃輝暗点の経時的変化: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jorthoptic/41/0/41_041F117/_article/-char/ja/
*6国立大学法人 東京医科歯科大学 国立大学法人 広島大学 「片頭痛の前兆に関与する遺伝子をマウスで発見」片頭痛の病態解明や新たな治療薬の開発に前進: http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20200626_1.pdf
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