SP-C †
SP-Cとは、肺の胞隔に存在するII型肺胞上皮細胞で産生・分泌されるサーファクタント(界面活性剤)の主要な構成タンパク質であるサーファクタントタンパク質Cの略称である。*1 ヒトにおいてSP-CはSFTPC遺伝子によってコードされており、肺胞の表面張力を低下させて呼気時における肺の虚脱を防ぐ極めて重要な役割を担っている。*2
サーファクタントタンパク質Cは、疎水性の高いポリペプチドであり、成熟した分子はわずか35個のアミノ酸残基から構成されている。肺胞II型細胞内で合成された後、前駆体としてのプロペプチドの段階を経てプロセシングを受け、ラメラ体と呼ばれる細胞内小器官を介して肺胞腔へと分泌される。分泌されたSP-Cは、リン脂質(特にジパルミトイルホスファチジルコリン)や他のサーファクタントタンパク質(SP-A、SP-B、SP-D)とともに複合体を形成し、肺胞表面に単分子膜を素早く広げることで、呼吸サイクルの全般にわたって肺胞を安定化させる。*3
SFTPCの遺伝子異常や変異は、肺の線維化や間質性肺炎などの重篤な呼吸器疾患の発症に関与することが知られている。SFTPCの変異によって異常な前駆体が蓄積すると、小胞体ストレスが引き起こされ、II型肺胞上皮細胞のアポトーシスや細胞障害が誘発される。これが引き金となり、肺胞構造の破壊や過剰な線維化が進行し、特発性肺線維症や家族性間質性肺炎といった予後不良の疾患を発症する病態メカニズムが指摘されている。*4
医学および薬学の分野において、SP-Cおよびそれに関連するサーファクタントの研究は、新生児呼吸窮迫症候群(RDS)などの治療薬開発や病態解明の標的として重要視されている。特に、早産児などにおいて肺サーファクタントが不足することで生じる呼吸不全に対し、動物肺抽出物を由来とする人工サーファクタント製剤が臨床現場で使用されており、その機能発現においてSP-BおよびSP-Cといった疎水性タンパク質が果たす界面活性補助作用が不可欠であることが明らかにされている。*5
*2遺伝子疾患情報リスト: https://www.lifescience.mext.go.jp/db/genetable/docs/gene_detail.asp?gene_id=5638
*3PMDA: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultPDF/490141_221000AMF00315_1_01
*4難病情報センター: https://www.難病情報センター.jp/129.html
*5PMDA: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultPDF/490141_221000AMF00315_1_01
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