アストロサイト(astrocyte) †
グリア細胞のひとつ。星状細胞や星状膠細胞、アストログリアとも。脳内の神経細胞の周りに存在する。ヒトの大脳皮質においては最も大きく、数も多い細胞。星型をしていることから名付けられた。*1*2
神経細胞の主な産生時期が終了した後の神経幹細胞から生じる。アストロサイトの元になるアストロサイト前駆細胞は脳深部で作られ、脳表面側へと移動して、すでに形成され始めている神経細胞ネットワークに合流する。*3
アストロサイトは細胞外のグルタミン酸をGLT-1によって細胞内へ運び込むことにより細胞外のグルタミン酸濃度を低濃度に抑えている。*4
γ-アミノ酪酸を神経伝達物質とする。輸送体であるNPT3が発現している。*5
小脳皮質の中のGABAを伝達物質として放出する抑制性の神経細胞の一つ。プルキンエ細胞の樹状突起にシナプスを作っており、GABAによって、プルキンエ細胞の細胞体の活動を抑えている。*6
ミクログリアから分泌される炎症性サイトカインによって、突起を延ばして血球の浸潤を防ぐ反応性アストロサイトへ変化する。*7
転写制御因子のPax6や脂肪酸結合タンパク質のFabp7が発現している。*8
正常な脳内において、アストロサイトはほとんど増殖しませんが、神経細胞への栄養補給など神経細胞のサポート的な役割を担うだけでなく、神経細胞の活動を直接的または積極的に調節するなど、多彩な機能を持つことが明らかになりつつあります。... 近年、損傷を受けた脳組織の修復においても、アストロサイトが重要な働きをもつことが明らかになってきました。損傷部周囲では、アストロサイトが増殖して数を増やし、損傷部でダメージを受けた神経細胞、アストロサイト自身や損傷部に進入した炎症細胞などを取り囲むことで、炎症の拡大を最小限にとどめていることが示されていました。*9
ギャップ結合と呼ばれる細胞間輸送機構を介して中枢神経の広範囲に様々な情報を伝達する。*10
*2グリア細胞が脳を外傷から保護するメカニズムの解明 -ミクログリアによる神経保護的アストロサイトの誘導- - 生理学研究所: http://www.nips.ac.jp/release/2017/05/post_342.html
*3神経機能を制御するアストロサイトが脳内に広く分布する仕組みを解明-精神神経疾患の新たな病態理解に期待-:[慶應義塾]: https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2022/12/6/28-133829/
*4脳卒中・片頭痛の病態 | Department of Neurobiology 神経生物学: https://home.hiroshima-u.ac.jp/neurobio/research/project4/
*5尿酸の新たな輸送タンパク質を発見 - 国立大学法人 岡山大学: http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id302.html
*6脳内マリファナは大雑把に一括処分される ~脳内マリファナ類似物質のシナプス周辺での分解の仕組みを解明~ | 東京大学: http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_240710_02_j.html
*7グリア細胞が脳を外傷から保護するメカニズムの解明 -ミクログリアによる神経保護的アストロサイトの誘導- - 生理学研究所: http://www.nips.ac.jp/release/2017/05/post_342.html
*8中枢神経系におけるグリア細胞の分化と機能|東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野: http://www.dev-neurobio.med.tohoku.ac.jp/researchoutline/osumi/glial/index.html
*9損傷を受けた脳内でアストロサイトが増殖する仕組みを解明 ―脳組織が修復される仕組みが明らかに― | 国立大学法人 神戸大学 (Kobe University): http://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/research/2016_11_29_01.html
*10研究概要-薬効解析科学-広島大学(薬学部・大学院医歯薬保健学研究院): http://home.hiroshima-u.ac.jp/pha/Research.html
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