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イヌリン(inulin)

水溶性食物繊維に分類される多糖類フルクトースが多数結合したフルクタン*1

イヌリンの化学構造

スクロースから合成によって結合数(重合度)を調整したものが生成されている。

またイヌリンについては,植物から抽出したものおよびそれを部分水解し,重合度を調節したものが市販されてきたが,最近では,スクロースからイヌリンを合成する微生物酵素を利用して,重合度の異なるイヌリンも食品素材として生産されるようになっている.*2

体内で分解や吸収が行われないため、尿で排泄される。そのため機能(糸球体濾過値)の検査の標として用いられる。*3

イヌリンを摂取すると、ブラウティア属やバクテロイデテス属などの腸内細菌によって分解され酢酸が産生される。この酢酸門脈を通じて肝臓に移行し、肝細胞GPR43を介してインスリン抵抗性を改善することで非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎NASH)の発症を抑制する。*4

タグ: 食物繊維 多糖類 酢酸 フルクトース

*1結合様式の異なるフルクトオリゴ糖・フルクタン: https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9408/9408_biomedia_3.pdf
*2生物工学会誌 第94巻 第8号 バイオミディア 結合様式の異なるフルクトオリゴ糖・フルクタン: https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9408/9408_biomedia_3.pdf
*3イヌリン: https://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/teibun/inu.htm
*4腸内細菌由来の酢酸は肝臓のインスリン抵抗性を改善し非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を抑制する-腸内細菌を標的とした次世代NASH治療法実現の可能性-:[慶應義塾]: https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2021/10/5/28-82994/

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このページの最終更新日時: 2021-10-08 (金) 16:53:34