健康用語WEB事典

カロテノイド(carotenoid)

植物や動物に存在する黄色や橙色、赤色の色素。自然界に750種類以上の存在が確認されている。カルチノイドとも。

化学的には炭素と水素のみで構成されるカロテンと、酸素を含有するキサントフィルに分けられる。カロテンニンジン(carrot)から得られた不飽和炭化水素(ene)、キサントフィルの名称は黄色い(xantho)葉(phyll)が語源。

カロテノイドは微生物、植物、動物に広く分布する赤、橙、黄色を呈する天然色素で8個のイソプレン単位(炭素5個から成るユニット)が結合して構成された炭素数40の基本骨格を持つ化合物群である。*1

カロテノイドの働き

カロテノイドは抗酸化作用を持ち、生体膜など脂溶性部分における活性酸素の除去に必要である。酸素が存在し、太陽光があたる環境に存在する生物のほぼ全ての体内に存在すると考えられている。*2

カロテノイドは特に一重項酸素を消去する効果が強い。また、カロテノイドは脂溶性のため、生体膜ペルヒドロキシラジカルなどの消去にも役立つ。

励起状態一重項酸素から基底状態のカロテノイドにエネルギー移動が起こり,酸素基底状態三重項酸素?に戻る.一方,カロテノイドは三重項励起状態になった後,振動緩和(熱失活)によって基底状態に戻る.カロテノイドは脂溶性のため,膜脂質脂質ペルヒドロキシラジカル?などの消去にも役立っている.

1O2 + 1Carotenoid → 3O2 + 3Carotenoid → 3O2 + 1Carotenoid + 熱*3

実際に生体膜酸化によって過酸化脂質が生成されるのを防ぐ働きが確認されている。

これまでに私たちの研究室では、アルツハイマー病患者の赤血球膜ではカロテノイドが減少し、逆に過酸化脂質は増加していることを明らかにしました。また、カロテノイドを摂取すると、血中のカロテノイド量が高まり、過酸化脂質が減少することも見出しています。*4

カロテノイドの種類

植物に含まれる代表的なカロテノイドにはニンジンに含まれるβカロテントマトに含まれるリコピンなどがある。動物に含まれるカロテノイドには、サケの筋肉イクラ?の赤色、加熱したタイやエビの赤色の色素であるアスタキサンチンなどがある。

人間の臓器血液には主に6つのカロテノイドが含まれる。*5

生野菜からのカロテノイドの吸収効率は高くないが、ペーストにしたり、と一緒に加熱したりすると吸収効率が良くなる。

*1カロテノイドの多様な生理作用: http://seiken-site.or.jp/files/libs/33/201604041950396747.pdf
*2カロテノイドとヒト 高市 真一 日本医科大学生物学教室: http://www.nms.ac.jp/jmanms/pdf/008040264.pdf
*3カロテノイドとヒト 高市 真一 日本医科大学生物学教室
*4機能分子解析学 <東北大学大学院農学研究科>: http://www.agri.tohoku.ac.jp/kinoubunshi/html/study.html
*5カロテノイドとヒト 高市 真一 日本医科大学生物学教室

ご意見・ご要望をお聞かせください。


カロテノイドに関する情報を検索
[学術機関を検索] [政府機関を検索]



この用語を編集/画像添付
このページの最終更新日時: 2019-12-06 (金) 08:49:04