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グルタチオン(glutathione)

グルタミン酸システイングリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドGSH(γ-Glu-Cys-Gly)とも表記される。

グルタチオンの化学構造

特殊なペプチド結合であるγ-グルタミル結合を持ち、通常のプロテアーゼによる分解を受けない。*1

薬物が排泄されやすいように水溶性にしたり、酵素補因子として働いたり、タンパク質ジスルフィド結合の再配列や抗酸化などにも関与したりする。*2

細胞内では還元型グルタチオンとして存在し、活性酸素の消去によって酸化型グルタチオンとなる。酸化型グルタチオングルタチオンレダクターゼによって還元型グルタチオンに戻る。すなわち、グルタチオンの持つ還元力によって細胞が受ける酸化ストレスを抑え、この時自身は酸化されるがグルタチオンレダクターゼによってNADPHを利用して還元され、再び酸化ストレスに備える。このサイクルにはGPxが関与する。*3*4

グルタチオンは、主に活性酸素酸化ストレスの除去や異物(薬剤など)の排出を担う、いわば“細胞が生き延びるための防御物質”として働きます。がん細胞はグルタチオン濃度を高く保っているといわれており、そのため放射線治療や抗がん剤に対して高い耐性をもち、治療効果が弱まってしまうことが示唆されています。*5

網膜内で生合成され、原料であるL-グルタミン酸L-システイングリシン血液網膜関門発現するアミノ酸トランスポーターによって供給される。*6

*1細胞内のレドックスバランスを制御するグルタチオン分解酵素: http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/~keiwada/ggt.htm
*2glutathione | C10H17N3O6S - PubChem: https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/glutathione#section=Top
*3共同発表:抗がん剤が効かなくなるがん細胞の新たなメカニズムを発見 治療効果の改善に期待: http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140317-2/index.html
*4消化管型グルタチオンペルオキシダーゼの生物学的特徴とC型肝炎ウイルス感染における臨床的意義(総説) 小松博義 文京学院大学 保健医療技術学部 臨床検査学科: https://www.u-bunkyo.ac.jp/center/library/image/p01-09.pdf
*5東京大学 生きた細胞内のグルタチオンを可視化し、定量するがん治療研究や創薬研究への応用に期待: http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20161108.pdf
*6富山大学大学院医学薬学研究部・薬剤学研究室 血液網膜関門の機能特性を利用したドラッグデリバリー: https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/27/5/27_361/_pdf

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このページの最終更新日時: 2018-09-24 (月) 12:53:34