健康用語WEB事典

ケラチン(keratin)

毛髪の主成分となるタンパク質角化細胞に豊富に発現する中間径線維のひとつ。54種類が存在し、部位ごとに異なる種類が存在する。*1

耐久性や化学的安定性が高く、脊椎動物には必ず含まれている。他のタンパク質に比べてシスチンの含有量が多い(14〜18%)。アミノ酸組成は人種や性別などによって異なる。*2

分子内外に架橋を持つことにより不溶性となる。

毛髪や羊繊維は、クチクラ細胞コルテックス細胞および細胞膜複合体とそれらサブ構造からなる複雑な階層構造をもっている。これらの組織は主にイオウ原子を含むケラチンと呼ばれる繊維状タンパクから構成されており、イオウ原子は、主としてシスチン(cys)残基中にジスルフィド(-SS-)結合として存在し、タンパク分子間あるいは分子内に架橋を形成している。*3

等電点の違いから、酸性のタイプⅠと中性から塩基性のタイプⅡに大別される。細胞の種類や分化度に応じてタイプⅠとタイプⅡが特定のペアとして発現し、それらからなる二量体が集合して中間径線維となる。*4

*1京都大学医学部附属病院 病理診断科・病理部 病理診断便覧 ケラチン Keratin: http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~pathology/templates/keratin.html
*2宇都宮大学大学院工学研究科 博士後期課程 システム創成工学専攻 景山元裕 超薄分子膜の自己組織化構造を利用した毛髪表面モデルの構築とヘアコンディショニング剤の吸着特性に関する研究: https://uuair.lib.utsunomiya-u.ac.jp/dspace/bitstream/10241/9195/2/DT_000395_1_Full.pdf
*3上甲恭平 2006 ケラチン繊維の機能−ジスルフィド結合の役割: https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber/62/11/62_11_P_334/_pdf
*4旭川医科大学医学部皮膚科 山本明美 辺縁帯、ケラチンと層板顆粒に関する最近の知見: http://amcor.asahikawa-med.ac.jp/modules/xoonips/download.php/2005011894.pdf?file_id=1268

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このページの最終更新日時: 2020-07-31 (金) 07:57:14