健康用語WEB事典

ナンセンス変異(nonsense mutation)

コドンタンパク質の合成を終了させる命令(終止コドン)に変わる突然変異。ナンセンス変異が起こったmRNAでは意図しないタンパク質の合成停止が起こるため、正常なタンパク質ができず不完全なペプチドができる。*1

細胞内のmRNAに起こる最も一般的な異常。がん遺伝性疾患を引き起こす変異の約 1/3 がナンセンス変異によって異常なmRNAを生じることが原因となる。*2*3

ナンセンス変異を持つ遺伝子から発現したmRNAからは,途中で途切れたペプチドが生成することから,mRNAの不完全な終止コドンPTC(premature termination codon)と呼ばれることも多い。このPTCの生じる原因は様々であり,遺伝疾患におけるゲノム上のナンセンス変異だけが原因とは限らない。*4

通常はナンセンス変異依存mRNA分解機構NMD)によってナンセンス変異が起きたmRNAは分解され、発現されない。

*1Tokyo Medical University Genetics DNA Mutations: http://www.tokyo-med.ac.jp/genet/dmu-j.htm
*2KAKEN — 研究課題をさがす | mRNA分解と翻訳抑制による異常タンパク質の合成抑制機構の解析 (KAKENHI-PROJECT-17028022): https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17028022/
*3ナンセンス mRNA 認識の機構解明に成功 市大大学院医学研究科の大野教授らの研究チーム、「Genes & Development」 に掲載: https://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/pr/press/data/060201.pdf
*4遺伝子発現ノイズ排除とNMD 金沢医科大学総合医学研究所 石垣靖人: http://ri-center.w3.kanazawa-u.ac.jp/hokurikuRI_HP/pdf/saizensen05-1.pdf

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このページの最終更新日時: 2020-03-26 (木) 11:04:37