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ヘパリン(heparin)

肝臓から発見された、アンチトロンビンに結合して血液凝固を抑制する作用を持つ硫酸化多糖ヘパラン硫酸)。マスト細胞に存在する。ヘパラン硫酸の中でも硫酸化の度合いが高い。*1*2

ヘパリンの化学構造

ウロン酸(β-D-グルクロン酸あるいはα-L-イズロン酸)とD-グルコサミン重合した多糖類硫酸が付加した構造を持つ。中のプロテアーゼインヒビターのアンチトロンビン(AT)に結合して立体構造を変えて活性化し、ATによるプロテアーゼ凝固因子の阻害速度を高めて抗血液凝固作用を発現する。*3*4

ヘパリン生体内では結合組織肥満細胞分泌顆粒にのみ存在しており,グルクロン酸グルコサミンの2単位の繰り返し構造より成るグリコサミノグリカンの1種である。*5

サイトカインケモカインなどはヘパリンとの結合部位を持ち、これらを調節することが示唆されている。

哺乳類細胞表面に存在するヘパリンクリプトスポリジウム原虫感染を抑制する作用を持つことが知られている。*6

医薬品抗凝固剤)としては、カルシウムと結合したヘパリンカルシウムが有効成分として使用される場合もある。

ヘパリンカルシウムには、血液が固まるのを防ぐ作用(血液凝固阻害作用)があり、血管内で血液が固まって生じる疾患(血栓塞栓症)の治療及び予防に広く使用されています。*7

*1糖鎖の基礎知識 弘前大学 医学部 泌尿器科 畠山真吾: http://www.med.hirosaki-u.ac.jp/~uro/html/Research-Publications/Glyco_info_Hatakeyama.pdf
*2千葉科学大学紀要 ヘパラン硫酸プロテオグリカン - 細胞と組織のオーガナイザー: https://cis.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=92&item_no=1&page_id=13&block_id=21
*3血栓症治療薬の進歩 新しい経口抗凝固薬を中心に 鈴鹿医療科学大学 薬学部 薬学科 鈴木宏治: https://www.suzuka-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/01/12-01-suzuki.pdf
*4東海大学医学部付属病院 薬剤部 薬剤部だより: http://pharma.med.u-tokai.ac.jp/pdf/magazine/36.pdf
*5滋賀医科大学耳鼻咽喉科学教室 上気道炎症に対する新たな局所治療薬としてのヘパリンの可能性: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjiao/29/3/29_3_221/_article/-char/ja/
*6ヘパリンがクリプトスポリジウム原虫の感染を抑制することを発見: http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2015/20150701-1.html
*7ヘパリンカルシウム皮下注 5千単位 /0.2mLシリンジ「モチダ」: http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~yakuzai/323.pdf

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このページの最終更新日時: 2021-05-28 (金) 16:36:39