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ペプチド核酸(peptide nucleic acid : PNA)

アミド結合格とする人工の核酸DNAアナログDNAと異なり電荷を持たず、静電反発を受けることなく標的のDNAと安定な二本鎖を形成できる。また、DNAの二重螺旋を解くことなく特定の塩基配列に結合できるという特徴を持つ。*1*2

PNA(単量体)の化学構造

イオン性の構造のために、溶液中で凝集して溶解性が低下し、細胞膜透過性も低下することで細胞への導入が困難となる問題点がある。

PNAの代表的な優れた特性は、1)アミド格を有するためヌクレアーゼに対してはもちろん、プロテアーゼなどに対しても耐性を示し、高い酵素耐性ならびに化学的安定性、2)PNA・DNA、PNA・RNA錯体共に天然核酸錯体に比較して非常に高い安定性、3)ミスマッチ塩基導入により大きく低下する錯体安定性、すなわち高い塩基配列選択性、である。

このように優れた特性・機能を示すPNAであるが、ポリアミド主鎖に複素環である核酸塩基をグラフトしたオリゴマーであると考えると当然ではあるが、に対する溶解性が比較的低く、現実に用いられるのは18量体程度までで、自己会合性も強く疎水性づくタンパク質酵素類との非特異的吸着も無視できず、疎水性に起因すると考えられている膜透過性の欠如など深刻な問題も併せ持つ。*3

*1名古屋大学大学院理学研究科物質理学専攻 生物無機化学研究室 ペプチド核酸(PNA)による遺伝子制御: http://bioinorg.chem.nagoya-u.ac.jp/research/pna.html
*2新しい機能性核酸の開発と応用 日大工・生命 齋藤義雄: https://www.ce.nihon-u.ac.jp/researchcenter/wp-content/uploads/2019/04/8546e99f12128f79c5152940b017c383.pdf
*3外部刺激応答性機能核酸の創製 大阪大学大学院工学研究科分子科学専攻 和田健彦 井上佳久: http://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/wada/html/ANA1.pdf

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このページの最終更新日時: 2020-02-28 (金) 13:49:11