ミクログリア(microglia) †
グリア細胞のひとつ。グリア細胞全体の10%程度を占める。小膠細胞とも。
脳に存在し、変性した細胞などを貪食する。その働きがマクロファージに似ていることから、脳のマクロファージとも呼ばれる。*1*2
また、脳の損傷を感知して炎症性サイトカインを分泌し、アストロサイトを神経保護型の反応性アストロサイトへ変化させて血球の浸潤を防ぐという、外傷性脳損傷に対する防御作用を持つことが確認されている。
グリア細胞の1種で脳内における免疫担当細胞。正常状態では、突起を周囲に伸ばして周辺環境を常に監視しており、微小な環境変化を検知するといち早くその性質を変化させる。脳内の不要物の除去、神経細胞の修復などその機能は多岐に渡る。*3
しかし、病的な状態においてミクログリアから分泌されるサイトカインなどの液性因子は他の神経細胞を傷害することが確認されている。
過剰に活性化したミクログリアはTNF-αやIL-6などのサイトカイン産生を亢進させて神経炎症を引き起こし、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の進行に関わることが報告されている。*4
ミクログリア由来のサイトカインはいずれも単独では神経細胞死を誘導しないが,TNF-αはグルタミン酸産生を介して,また,IFN-γはAMPA受容体 GluR1 との複合体を介して神経細胞毒性を発揮する.*5
高濃度のグルタミン酸環境に対して、自身が持つAMPA受容体のサブユニットであるGluR2を細胞膜に増加させることで、グルタミン酸の毒性から自身を保護する仕組みを持っている。*6
ミクログリアには時間による変化が起こる。夜間にはP2Y12受容体の発現が増大し、これ介してATPの濃度勾配に従って突起を伸展させシナプス活動性の高い樹状突起スパインと接触する。伸展したミクログリア突起から分泌されるカテプシンSが細胞外マトリックス分解によりシナプス活動性の高い樹状突起スパインを退縮させ、昼間に向けてシナプス活動性の低下を引き起こす。*7
*2ミクログリアとは? - 神経機能を支えるミクログリアとは? - Cute.Guides at 九州大学 Kyushu University: http://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/microglia_basis
*3グリア細胞が脳を外傷から保護するメカニズムの解明 -ミクログリアによる神経保護的アストロサイトの誘導- - 生理学研究所: http://www.nips.ac.jp/release/2017/05/post_342.html
*4国立大学法人東京医科歯科大学「認知症の原因タンパク質が脳炎症を起こす仕組みを解明」 脳のミクログリアはタウ蛋白をウィルスと間違える?: https://www.tmd.ac.jp/files/topics/56294_ext_04_7.pdf
*5ミクログリアによる神経細胞傷害:その機序と対処法について 名古屋大学環境医学研究所 神経免疫 錫村明生: https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_detail_md/?lang=0&amode=MD100000&bibid=15514
*6ミクログリアに発現する AMPA 型グルタミン酸受容体 GluR2 の機能解明 別府薫 九州大学薬学府病態生理学分野: https://www1.gifu-u.ac.jp/~physiol/Pathophysiology/20shourei-2.pdf
*7九州大学歯学研究院口腔機能分子科学分野 研究内容 ミクログリアによる脳炎症の慢性化機序の解明: http://www.dent.kyushu-u.ac.jp/koza/koku_jotai_seigyo/koku_kinou_bunshi/sub1.html
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