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ムチン(mucin)

気道消化管を中心とする上皮細胞の膜表面(アピカル側)に分泌され、外部の刺激から上皮細胞を保護する役割を有する分子量4,500万以上の高分子糖タンパク質小胞体で合成されて細胞顆粒に蓄えられ、 様々な刺激に反応して細胞外へ開放出により分泌される。 *1*2*3

私達の消化管内には、摂取した食物や腸内細菌が存在している。そのため消化管の表面は粘液で保護されている。この粘液の主成分はムチンと呼ばれる物質である。ムチンは非常に多くのが結合したタンパク質糖タンパク質)であり、これが不すると、種々の疾患の発症につながることが知られていた。*4

粘液細胞からのムチンの分泌アセチルコリン刺激を介した細胞カルシウムイオン濃度の上昇によって活性化される開放出による。睡眠時にはアセチルコリン刺激濃度が低下しており、低頻度で持続的な粘液分泌が維持される。

大腸では、粘膜に存在する杯細胞によって作られ分泌される。

菌類が産生する多糖類であるムタンとは異なる。動物性粘質物をムチンまたはムコイドと呼ぶとされるが、植物性食品の粘性物質のことをムチンと呼ぶ場合もある。*5

やまのいも、オクラ、なめこなどのぬめりに含まれる物質で、たんぱくの混合物で細胞胃壁などを保護する働きをもっています。*6

腫瘍細胞から産生されるムチンは浸潤マクロファージ上のスカベンジャー受容体に結合し、その結果シクロオキシゲナーゼ-2COX-2)が誘導され、プロスタグランジンE2の産生が亢進する。これによってEP2受容体を介したVEGFの誘導やさらなるCOX-2の誘導によってがんの増殖・進展に有利な環境を作るとされる。

ムチンの種類

ムチンの構造は生物の種類や分泌部位によって異なる。*7

また、第二成分となる物質によって以下のように分類される。*8

*1鹿児島大学院 人体がん病理学: http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~byouri2/study/naiyou/page2.html
*2京都産業大学学術リポジトリ 腫瘍形成におけるムチンの生物学的意義 中田博 京都産業大学工学部生物工学科: https://ksu.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=2568&item_no=1&page_id=13&block_id=21
*3大阪薬科大学報69: https://www.oups.ac.jp/about/j3d5l400000007kn-att/gakuhou_no69.pdf
*4大腸粘膜を保護するムチン産生にストレス応答因子が重要な役割 研究成果(河野): http://www.protein.bio.titech.ac.jp/result/result_kohno4.html
*5高分子医薬品 名古屋大学工学部教授・薬博 佐々木正: https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/14/2/14_2_96/_pdf
*6西東社 カラー図解 栄養学の基本がわかる事典 川島由起子(2013/4/4): https://amzn.to/2tzGwYt
*7ムチンの構造と機能: 遺伝子の分子生物学的見地から: https://www.jstage.jst.go.jp/article/tigg1989/7/33/7_33_31/_article/-char/ja/
*8高分子医薬品 名古屋大学工学部教授・薬博 佐々木正

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このページの最終更新日時: 2020-04-28 (火) 13:26:48