健康用語WEB事典

免疫疲弊(immune exhaustion)

キラーT細胞が、本来持っている免疫機能を失う現象。がん細胞に対する抗原認識の過程で起こる。

キラーT細胞免疫チェックポイントチェックポイント分子)と呼ばれる受容体PD-1Tim-3?)を発現するが、これにがん発現するリガンドが結合することで、増殖能力やサイトカインの産生能力の低下などが起こる。*1

免疫疲弊が起こると、感染症にかかりやすくなります。とくに肺炎のリスクは高く、かなりの数のがん患者さんが肺炎で亡くなっているというのは、医学の世界では誰でも知っている常識です(直接の死亡原因の70%が肺炎)。*2

慢性のウイルス感染症塊による持続的な抗原刺激はCD8T細胞を疲弊させ次第にそのサイトカイン産生能を奪う.これはT細胞免疫寛容を誘導するための必然的な成り行きであるが,これを可能にするT細胞上の分子群はチェックポイント分子と呼ばれる.*3

*1メトホルミン服用における健常人および肺癌患者のCD8T細胞の多機能性調査 岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 ・ 免疫学分野 教授 鵜殿平一郎: http://www.daiwa-grp.jp/dsh/results/41/pdf/24.pdf
*2東邦出版 星野泰三 吉田朋子 共著 がんのプレシジョン免疫学(2017/8/21)
*3免疫チェックポイント制御とがん免疫治療 鵜殿平一郎 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 免疫学: http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/4/49379/20160528094829644248/125_13.pdf

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このページの最終更新日時: 2017-12-04 (月) 18:08:45