健康用語WEB事典

煙草(tobacco, cigarette)

たばこやタバコとも表記される。南米原産のナス科の植物である学名「ニコチアナ・タバクム」から作られる。

タバコ」はこの植物からつけられた。

煙草の歴史*1

メキシコにある世界遺産「パレンケ遺跡」には、チューブ状のものを口にくわえ、先端から煙を吹かしている絵が残っていることから、1400年前には煙草が存在していたと考えられている。

日本では、16世紀半ばのポルトガル船の来航時に伝えられ、江戸時代に農作物として生産されるようになった。

1904年に、帝国議会が日露戦争の軍費調達のため煙草製造専売法を実施し、国策として国が煙草を販売する制度が確立した。

煙草に含まれる成分*2

がんをはじめとする様々な疾患の原因となる有毒物質(タール?ホルムアルデヒド一酸化炭素など)を200~300種類含んでおり、ニコチンによる強い依存症を引き起こす。*3

煙草の煙には、煙草本来が含む成分以外にも、その成分の燃焼や巻紙や接着剤、フィルターの成分と反応することで生じる化合物が4000種類以上含まれるとされ、毎年新たな成分が判明している。

煙草の健康への影響

煙草に含まれる様々な化学物質ががんの疾患、心臓血管の病気などを引き起こすとWHOが発表している。

Tobacco use is one of the main risk factors for a number of chronic diseases, including cancer, lung diseases, and cardiovascular diseases.*4

しかし、タバコによるがんは白人に多い傾向があり、そのまま日本人に当てはまるわけではない。しかし、がんが発見可能な大きさになるまでには20年近くの歳月がかかるため、その影響を調べるには時間を要する。*5

動脈硬化

喫煙習慣は動脈硬化を促進するという報告がされている。

滋賀県草津市住民から無作為に抽出された、心血管病の既往のない健康な 40-79 歳の男性1019名を対象として、2006-2008 年に喫煙習慣を含む生活習慣と潜在性動脈硬化に関する調査を行った。 ...

対象者のうち、32%が現在喫煙者、50%が過去に喫煙していたが禁煙した人、18%が生涯非喫煙者であった。冠動脈石灰化?頚動脈肥厚?大動脈石灰化?増加および ABI 低下の危険度(調整オッズ比)は、生涯非喫煙者と比較して、禁煙者(頚動脈肥厚 1.9 倍、大動脈石灰化 2.6 倍)、現在喫煙者(冠動脈石灰化? 1.8 倍、頚動脈肥厚? 1.9 倍、大動脈石灰化? 4.3 倍、ABI 5.2 倍)の順で大きく、特に現在喫煙者は全ての動脈硬化指標と強い関連を認めた。*6

肺がん

今回は喫煙者の多い男性に限定して分析しました。アンケートでおたずねした喫煙習慣をもとに、もともと喫煙しない場合(図の「吸わない」―非喫煙者)を1とした肺がん死亡の危険度を、現在喫煙者(「吸っている」)、禁煙者(「やめた」)について計算しました。とくに禁煙者については、禁煙してからの年数別に危険度を計算しました。

すると肺がんで死亡する危険度は、現在喫煙者ではもともと喫煙しない人の5.16倍高いことがわかりました。禁煙者では禁煙後の年数が増えるにつれて危険度は減りますが、禁煙後10-14年でもなお非喫煙者の約2倍の肺がん死亡リスクがあり、危険度が非喫煙者並みになるためには15-20年が必要であるという結果でした。*7

煙草の肺がんへの影響に関しては根拠がないという反論も見られる。

喫煙によって肺がんになることを証明したデータは存在しません。逆に、喫煙者のほうが非喫煙者より自殺者が少ないというデータや、喫煙者のほうが風邪をひきにくいという統計データがあるほど。私の調査では、喫煙者のほうが非喫煙者よりも「やや長寿」とさえいえます。*8

*1タバコ学事始 ~なぜその葉は社会を蝕むのか~ 繁田正子 京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学: http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/jkpum/pdf/118/118-11/shigeta-11.pdf
*2平成11-12年度たばこ煙の成分分析について(概要)|厚生労働省: http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/seibun.html
*3津島地区安全衛生委員会資料『タバコについて』: http://www.okayama-u.ac.jp/user/hokekan/jikoboshi/tabakosiryou.pdf
*4WHO | Tobacco: http://www.who.int/topics/tobacco/en/
*5中央公論新社 中川恵一 知れば怖くない 本当のがんの話
*6滋賀医科大学 喫煙習慣は全身の血管で動脈硬化の進展に影響する -滋賀動脈硬化疫学研究 SESSA より-: http://www.shiga-med.ac.jp/info/release/h28/H281206.pdf
*7研究成果の紹介 禁煙後の男性肺がん死亡リスクの減少 若井建志: http://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/reports/wakai1/index.html
*8「タバコを吸うと肺がんになる」論のからくりを明かす | 日刊SPA!: https://nikkan-spa.jp/412877

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このページの最終更新日時: 2017-12-04 (月) 18:10:13