健康用語WEB事典

血栓(blood clot, thrombus)

血管内にできる血液の塊。塞栓子のひとつ。

外傷を修復するために血液凝集してできる。血管が傷ついてできた血栓は、出血や外部からの病原体の侵入を防ぐ。また、血栓内にはPDGFVEGFなどの増殖因子と、その阻害因子(TGF-β)などを含まれ、血管の修復に関わる。*1

血流の悪化などよって血管内に発生する血栓は、血管を塞いで血液の流れを遮断して脳梗塞のような血栓症を引き起こす場合がある。

血栓は,主に動脈硬化部位で形成される動脈血栓?静脈での鬱血などで形成される静脈血栓?,そして臓器毛細血管内で形成される微小循環血栓?に大別される。*2

止血における血栓

止血のために血管の傷を塞ぐための血液(主に血小板)の塊のことも血栓と呼ぶ。この血栓は傷が修復されると溶かされる(線溶*3

止血反応は,

1)血管の損傷部位への血小板血栓の形成、

2)血液凝固系の作動を介したフィブリン塊の生成による血小板血栓の強化、

3)XIII因子(フィブリン安定化因子)の作用でのフィブリン分子間架橋形成による止血栓の安定化、

からなる。

一方、生体内には形成されたフィブリン塊を溶解し止血栓を除去するための線維素溶解線溶)機構も用意されている。*4

一次止血栓(血小板血栓

血管に傷がつくと、血小板が集まって、傷ついた部分を塞ぐために血小板同士が結合して塊を作る。これが止血における一次止血栓を形成する。*5

これは血小板血栓とも呼ばれる。

二次止血栓

血小板血栓のみでは脆い血栓なので、さらにフィブリンという血液凝固因子が一次止血栓を取り囲み、強固な二次止血栓を形成する。

止血に関係する疾患

*1第42回 河口湖心臓討論会 血管内皮細胞障害と血栓 丸山征郎: https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/41/2/41_204/_pdf
*2血栓症治療薬の進歩 新しい経口抗凝固薬を中心に 鈴木宏治 鈴鹿医療科学大学 薬学部 薬学科: http://www.suzuka-u.ac.jp/information/bulletin/pdf/2012/12-01-suzuki.pdf
*3血栓傾向を呈する血液疾患 -播種性血管内凝固-: http://www.med.kindai.ac.jp/transfusion/ketsuekigaku11.pdf
*4岡山大学 Dダイマー, D dimer: https://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/gyouko/dd.htm
*5[80] 血液をさらさらにする薬 | 血管・血液 | 循環器病あれこれ | 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス: http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph80.html

ご意見・ご要望をお聞かせください。


血栓に関する情報を検索
[学術機関を検索] [政府機関を検索]



この用語を編集/画像添付
このページの最終更新日時: 2018-06-15 (金) 14:40:50