健康用語WEB事典

5-HTTLPR(serotonin-transporter-linked promoter region)

セロトニントランスポーター5-HTT)の遺伝子プロモーター領域における遺伝子多型DNAメチル化状態と関連し、扁桃体の形態変化を通してうつ病などの精神疾患の病態に関係するとされる。*1

多型のタイプがL型(long型)である場合、遺伝子の働きが強くなって多くのセロトニントランスポーターが産生され、逆にS型(short型)である場合は少なく産生される。対立遺伝子であるため組み合わせとしてLL、LS、SSが存在する。

かつてはS型を持つと不安傾向が強く、よりうつ病に罹患しやすいと考えられていたが、近年の大規模な研究により5-HTTLPR遺伝子多型精神疾患の単純な関係は明確に否定されている。

日本人特有の多型のタイプにL型のL16-Cがあり、この低活性型5-HTTLPRを持つ男性統合失調症患者ではセロトニントランスポーターが高メチル化状態にあり、セロトニントランスポーター量の低下を通して扁桃体体積の減少が生じている可能性が示唆されている。

パニック症における5-HTTLPR多型間の比較において、発症年齢、NEO-PI-R、STAI、ASI、SDSに関する差異は認めなかった。広場恐怖の有無と5-HTTLPR遺伝子多型との相互作用における検討では、発症年齢とSTAI(特性不安)に顕著な相互作用を認めた。双極性感情障害の有無と5-HTTLPR遺伝子多型との相互作用における検討では、NEO-PI-Rの調和性に顕著な相互作用を認めた。しかし、うつ病の有無と5-HTTLPR遺伝子多型における検討では相互作用を認めなかった。*2

タグ: セロトニン 遺伝子 トランスポーター 遺伝子多型 扁桃体 メチル化 精神疾患

*1統合失調症や双極性障害の男性患者ではセロトニン関連遺伝子のDNAメチル化状態が変化 | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構: https://www.amed.go.jp/news/release_2020619.html
*2第38回日本生物学的精神医学会 第59回日本神経化学会大会 合同年会 パニック症における共存症とセロトニントランスポーター遺伝子多型の関連について: https://www.neurochemistry.jp/web/59th/contents/P019.html

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このページの最終更新日時: 2022-06-29 (水) 17:12:01