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MHCクラスⅡ分子(major histocompatibility complex class II)

MHCのひとつ。通常の体細胞には存在せず、ヘルパーT細胞抗原提示を行う抗原提示細胞プロフェッショナル抗原提示細胞)のみが発現している。構造としては1回膜貫通タンパク質であるα鎖(約230個のアミノ酸、約33〜35kDa)とβ鎖(約230個のアミノ酸、約27〜29kDa)からなるヘテロ二量体*1*2

主としてエンドサイトーシスによって取り込まれた外来性タンパク質由来のペプチド断片をヘルパーT細胞に提示する。ヘルパーT細胞は、MHCクラスⅡ分子に挟み込まれたエピトープを認識する。*3

クラスⅡは抗原をヘルパー系T細胞に見せるための分子なので、樹状細胞マクロファージB細胞などヘルパーT細胞と相互作用をおこなう細胞発現しており、ほかの細胞発現しない。なお、B細胞抗原提示できる相手は、あらかじめ活性化されたT細胞に限られる。*4

これによって細胞外から取り込んだ抗原を提示する。細胞内のタンパク質の提示はMHCクラスⅠ分子が担当する。

樹状細胞において、MHCクラスⅡ分子はMARCH-Iによるユビキチン化によって細胞内に局在し、ユビキチン化が消失することで細胞表面へと移動することが報告されている。*5

ヒトのMHCクラスⅡ分子を特にHLAクラスⅡ分子と呼ぶ。

HLAクラスⅡ分子(human leukocyte antigen class II)

HLA(ヒトのMHC)のクラスのひとつ。単球由来の細胞などの限られた細胞の表面に存在する。*6

HLAクラスⅡ分子は病原体などの外因性のペプチドを挟み込み、それをヘルパーT細胞に提示して認識させる役割を担う。*7

HLAクラスⅡ分子は、さらに以下の座に分類される。*8

これらクラスⅡ分子は2種類のペプチド(α鎖とβ鎖)によって構成され、これらのペプチドにはそれぞれ2つのドメインが存在する。

*1樹状細胞における細胞表面 MHC-II 分子の発現制御機構 古田和幸: http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2014/08/86-01-10.pdf
*2熊本大学大学院生命科学研究部・教育部 蛋白質・核酸・酵素 T細胞に抗原を認識させる主要組織適合抗原の構造と機能: http://srv02.medic.kumamoto-u.ac.jp/dept/immunoge/frame/PNE.pdf
*3特集:生体防御メカニズムの分子基盤 非古典的MHCクラスI分子の構造と機能 梶川瑞穂 笠原正典: http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/11/81-03-07.pdf
*4技術評論社 桂義元 免疫はがんに何をしているのか? 見えてきた免疫のメカニズム 2016/12/25
*5樹状細胞における細胞表面 MHC-II 分子の発現制御機構 古田和幸: http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2014/08/86-01-10.pdf
*6技術評論社 西村尚子 知っているようで知らない免疫の話 ヒトの免疫はミミズの免疫とどう違う?(2010/8/25)
*7特定非営利活動法人 白血病研究基金を育てる会 小川公明 HLA の基礎知識 1: https://www.jstage.jst.go.jp/article/mhc/23/2/23_115/_pdf
*8技術評論社 奈良信雄 知りたいサイエンス とっても気になる血液の科学(2010/1/5)

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このページの最終更新日時: 2019-11-25 (月) 09:41:22