TNF-α(tumor necrosis factor-α) †
固形がんに対して出血性の壊死を誘導する因子として発見されたサイトカイン。腫瘍壊死因子-αとも呼ばれる。
単球を炎症部分に移動させ、それをマクロファージや類上皮細胞へ分化させたり、肉芽腫の形成に関わったりする。マクロファージからも産生され、アポトーシス誘導作用を持つ。*1*2*3
末梢の炎症組織において産生される主要な炎症性サイトカイン。TNF受容体と結合してNF-κBの細胞核内への移行に関与する。*4
IFN-γ、TNF-αはマクロファージの活性化に重要で特にIFN-γの産生が阻害されると感受性微生物を防御できなくなることという多くの報告がある。TNF-αはマクロファージからも産生され、炎症の増悪と関係している。... TNF-α系は、アポトーシスを引き起こす因子として重要で、TNF Receptor を介したアポトーシス誘導シグナル伝達系が詳しく研究されている。*5
インスリン抵抗性を引き起こすことが確認されている。
TNFαが受容体に結合するとセリン・スレオニンキナーゼであるJNK(c-Jun amino-terminal kinase)がインスリン受容体基質であるIRS1のセリン残基をリン酸化する。この経路によってIRS1タンパクがリン酸化されると、正常なリン酸化過程が阻害され、結果的にIRS1以降のシグナルが伝達されず、GLUT4を膜に移送できない。したがって、この状態がインスリン抵抗性となる。*6
いくつかの炎症性サイトカインを用いヒト歯髄細胞を刺激したところ、短期間のTNF-α刺激時においてのみ、間葉系幹細胞マーカーの発現が上昇し、TNF-α刺激を行なった歯髄細胞は、骨芽細胞や脂肪細胞など他の細胞への分化効率が高まることが明らかとなりました。*7
*2肉芽腫性肺疾患の基礎と臨床 肉芽腫形成におけるマクロファージの役割 内藤眞: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsogd/30/1/30_93/_article/-char/ja/
*32年前期 生命の基本単位としての細胞(第 11 回)細胞の死: http://www10.showa-u.ac.jp/~biolchem/H20-P2cell-11.pdf
*4顎関節炎によって惹起される咬筋機械痛覚過敏に対する三叉神経節内 TNF-α の関与: http://repository.nihon-u.ac.jp/xmlui/bitstream/handle/11263/1145/Ito-Reio-1.pdf?sequence=1
*5総論 獲得免疫・免疫遺伝|教室概要|長崎熱帯医学研究所 宿主病態解析部門免疫遺伝学分野: http://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/hiraken/outline/medicine.html
*6脂肪細胞とインスリン抵抗性(星薬科大学オープン・リサーチより): http://polaris.hoshi.ac.jp/openresearch/kamata%20(adipocyte)--2.html#AD-INS8
*7炎症性サイトカインの一つであるTNF-αが歯髄細胞の未分化性獲得と維持を誘導 - 国立大学法人 岡山大学: http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id163.html
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