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*ストレス(stress) [#i018c514] 肉体や精神にかかる負荷のこと。 人間がストレスを受けると、それに対するストレス反応が[[中枢神経系]]や身体の各部位で発生する。例えば、[[脈拍]]が速くなり[[血圧]]が上がるなどである。 **ストレスによる身体への影響 [#s532c630] 過度のストレスによって[[生活習慣病]]の発症率の増加が確認されており社会問題となっている。[[胃潰瘍]]などの疾患や、[[脳]]への様々な悪影響が確認されている。 動物に共通する代表的なストレス反応は「[[視床下部]]-[[下垂体]]-[[副腎皮質]]ストレス反応系([[HPA軸]])」と呼ばれ、身体的・心理的ストレスを受けた場合は、この反応によって[[副腎皮質ホルモン]]が[[分泌]]される。 精神的ストレスの場合、[[大脳皮質]]や[[大脳辺縁系]]がまず興奮し、それが[[扁桃体中心核]]や[[分界条床核]]に伝わり、[[視床下部]][[室傍核]]および[[HPA軸]]を賦活させる。((ストレスにより痛みが増強する脳メカニズム 仙波恵美子 和歌山県立医科大学医学部第二解剖: https://plaza.umin.ac.jp/jpps/issue/magazine/pdf/0303_02.pdf)) 身体的ストレスの場合、その変化はまず血行性に[[脳弓下器官]]や[[最後野]]などから[[脳]]に伝えられ、[[副腎髄質]]からの[[ノルアドレナリン]]や[[アドレナリン]]の放出を引き起こす経路と、[[迷走神経]]を介して[[延髄]][[孤束核]]に伝えられ、その近傍の[[ノルアドレナリン]]や[[アドレナリン]]を含む[[神経細胞]]から上行性の[[投射]]が起こり、これが[[室傍核]]を興奮させる経路がある。 >[[副腎皮質]]から[[分泌]]される[[糖質コルチコイド]]の[[分泌]]は[[脳下垂体]]から[[分泌]]される[[副腎皮質刺激ホルモン]]([[ACTH]])によって促進され、その [[ACTH]] の[[分泌]]はさらに上位の[[視床下部]][[室傍核]]の[[副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン]]([[CRH]])によって促進されるという、いわゆる[[視床下部]]-[[下垂体]]-[[副腎]]系と呼ばれる3段機構で調節されます。((浜松医科大学 ストレスホルモン放出機構の新しい経路を発見: https://www.hama-med.ac.jp/bd79e0634826e38ffeef3b8d62a622dc.pdf)) このホルモンは、体の抵抗性を強める効果があるが、[[脳]]への悪影響([[海馬]]の変性)などを引き起こすことが確認されている。実際にラットを用いた実験においては、慢性ストレスと[[副腎皮質ホルモン]]の慢性投与のどちらもが学習能力([[空間記憶]]課題の成績)を低下させることが確かめられている。((ストレスによる脳への影響: https://www.tsukuba.ac.jp/public/booklets/forum/forum75/33.pdf)) ラットやサルをストレス条件下に暴露すると、[[歯状回]]の[[細胞]]増殖が低下することが知られている。[[脳]]の[[大脳皮質前頭前野]]にも影響を及ぼし、高度な精神機能が阻害されることが確認されている。((情動記憶の脳科学 : 海馬を中心に - 九大コレクション | 九州大学附属図書館: https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_detail_md/?lang=0&amode=MD100000&bibid=19246))((ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学: http://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/029758.html)) >長期間にわたる慢性ストレスは,[[神経細胞]]を萎縮させ,[[樹状突起]]の分岐を減らす.重篤化すると[[神経細胞]]の脱落も生じる.((急性ストレス時に帯状回で起こるシナプス変化とその分子メカニズムの解明 研究代表者 北條泰嗣 (医学部 生化学): http://www.saitama-med.ac.jp/jsms/vol43/02/jsms43_180_183.pdf)) ストレスがかかると、[[脳]]全体の[[神経]]から[[ノルアドレナリン]]や[[ドーパミン]]などの[[神経伝達物質]]が放出され、これらの濃度が高まると[[神経細胞]]間の活動が弱まり最終的には停止する。[[酵素]]によってこれらの[[神経伝達物質]]が分解されることでストレスから回復する。この[[酵素]]には個人差があるため、ストレス[[耐性]]は個人によって異なる。 >[[ドーパミン]]と[[ノルアドレナリン]]によって高次認知に必要な[[前頭前野]]の回路が停止しても、通常はこれら[[神経伝達物質]]の分解[[酵素]]が働くため、機能停止は長くは続かず、ストレスが軽減すれば元の状態に戻ります。しかし、遺伝的にこれらの[[酵素]]の力が弱い人はストレスに弱いようです。((ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学)) ストレス状態が長く続くと、[[大脳皮質前頭前野]]の萎縮や[[うつ病]]、[[PTSD]]などの症状が起こる。幼少期のストレスが[[PTSD]]患者に見られる[[海馬]]の萎縮に関与していることが示唆されている。 >さらに、慢性的なストレスにさらされると、[[扁桃体]]の[[樹状突起]]([[神経細胞]]から枝状に伸びて信号を受け取っている突起)が拡大する一方、[[前頭前野]]の[[樹状突起]]は萎縮します。ストレスがなくなれば、[[前頭前野]]の[[樹状突起]]は再生しますが、ストレスが非常に強い場合には回復能力が失われます。[[前頭前野]]の萎縮は、過去のストレス体験と関連していることも分かってきました。ストレスによる[[脳]]内変化が生じると、以後のストレスに対してさらに脆弱になり、[[うつ病]]や[[依存症]]、[[心的外傷後ストレス障害]]([[PTSD]])などの[[不安障害]]につながると考えられています。((ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学))
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*ストレス(stress) [#i018c514] 肉体や精神にかかる負荷のこと。 人間がストレスを受けると、それに対するストレス反応が[[中枢神経系]]や身体の各部位で発生する。例えば、[[脈拍]]が速くなり[[血圧]]が上がるなどである。 **ストレスによる身体への影響 [#s532c630] 過度のストレスによって[[生活習慣病]]の発症率の増加が確認されており社会問題となっている。[[胃潰瘍]]などの疾患や、[[脳]]への様々な悪影響が確認されている。 動物に共通する代表的なストレス反応は「[[視床下部]]-[[下垂体]]-[[副腎皮質]]ストレス反応系([[HPA軸]])」と呼ばれ、身体的・心理的ストレスを受けた場合は、この反応によって[[副腎皮質ホルモン]]が[[分泌]]される。 精神的ストレスの場合、[[大脳皮質]]や[[大脳辺縁系]]がまず興奮し、それが[[扁桃体中心核]]や[[分界条床核]]に伝わり、[[視床下部]][[室傍核]]および[[HPA軸]]を賦活させる。((ストレスにより痛みが増強する脳メカニズム 仙波恵美子 和歌山県立医科大学医学部第二解剖: https://plaza.umin.ac.jp/jpps/issue/magazine/pdf/0303_02.pdf)) 身体的ストレスの場合、その変化はまず血行性に[[脳弓下器官]]や[[最後野]]などから[[脳]]に伝えられ、[[副腎髄質]]からの[[ノルアドレナリン]]や[[アドレナリン]]の放出を引き起こす経路と、[[迷走神経]]を介して[[延髄]][[孤束核]]に伝えられ、その近傍の[[ノルアドレナリン]]や[[アドレナリン]]を含む[[神経細胞]]から上行性の[[投射]]が起こり、これが[[室傍核]]を興奮させる経路がある。 >[[副腎皮質]]から[[分泌]]される[[糖質コルチコイド]]の[[分泌]]は[[脳下垂体]]から[[分泌]]される[[副腎皮質刺激ホルモン]]([[ACTH]])によって促進され、その [[ACTH]] の[[分泌]]はさらに上位の[[視床下部]][[室傍核]]の[[副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン]]([[CRH]])によって促進されるという、いわゆる[[視床下部]]-[[下垂体]]-[[副腎]]系と呼ばれる3段機構で調節されます。((浜松医科大学 ストレスホルモン放出機構の新しい経路を発見: https://www.hama-med.ac.jp/bd79e0634826e38ffeef3b8d62a622dc.pdf)) このホルモンは、体の抵抗性を強める効果があるが、[[脳]]への悪影響([[海馬]]の変性)などを引き起こすことが確認されている。実際にラットを用いた実験においては、慢性ストレスと[[副腎皮質ホルモン]]の慢性投与のどちらもが学習能力([[空間記憶]]課題の成績)を低下させることが確かめられている。((ストレスによる脳への影響: https://www.tsukuba.ac.jp/public/booklets/forum/forum75/33.pdf)) ラットやサルをストレス条件下に暴露すると、[[歯状回]]の[[細胞]]増殖が低下することが知られている。[[脳]]の[[大脳皮質前頭前野]]にも影響を及ぼし、高度な精神機能が阻害されることが確認されている。((情動記憶の脳科学 : 海馬を中心に - 九大コレクション | 九州大学附属図書館: https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_detail_md/?lang=0&amode=MD100000&bibid=19246))((ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学: http://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/029758.html)) >長期間にわたる慢性ストレスは,[[神経細胞]]を萎縮させ,[[樹状突起]]の分岐を減らす.重篤化すると[[神経細胞]]の脱落も生じる.((急性ストレス時に帯状回で起こるシナプス変化とその分子メカニズムの解明 研究代表者 北條泰嗣 (医学部 生化学): http://www.saitama-med.ac.jp/jsms/vol43/02/jsms43_180_183.pdf)) ストレスがかかると、[[脳]]全体の[[神経]]から[[ノルアドレナリン]]や[[ドーパミン]]などの[[神経伝達物質]]が放出され、これらの濃度が高まると[[神経細胞]]間の活動が弱まり最終的には停止する。[[酵素]]によってこれらの[[神経伝達物質]]が分解されることでストレスから回復する。この[[酵素]]には個人差があるため、ストレス[[耐性]]は個人によって異なる。 >[[ドーパミン]]と[[ノルアドレナリン]]によって高次認知に必要な[[前頭前野]]の回路が停止しても、通常はこれら[[神経伝達物質]]の分解[[酵素]]が働くため、機能停止は長くは続かず、ストレスが軽減すれば元の状態に戻ります。しかし、遺伝的にこれらの[[酵素]]の力が弱い人はストレスに弱いようです。((ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学)) ストレス状態が長く続くと、[[大脳皮質前頭前野]]の萎縮や[[うつ病]]、[[PTSD]]などの症状が起こる。幼少期のストレスが[[PTSD]]患者に見られる[[海馬]]の萎縮に関与していることが示唆されている。 >さらに、慢性的なストレスにさらされると、[[扁桃体]]の[[樹状突起]]([[神経細胞]]から枝状に伸びて信号を受け取っている突起)が拡大する一方、[[前頭前野]]の[[樹状突起]]は萎縮します。ストレスがなくなれば、[[前頭前野]]の[[樹状突起]]は再生しますが、ストレスが非常に強い場合には回復能力が失われます。[[前頭前野]]の萎縮は、過去のストレス体験と関連していることも分かってきました。ストレスによる[[脳]]内変化が生じると、以後のストレスに対してさらに脆弱になり、[[うつ病]]や[[依存症]]、[[心的外傷後ストレス障害]]([[PTSD]])などの[[不安障害]]につながると考えられています。((ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学))
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