グリコーゲン(glycogen) †
多数のグルコースがグリコシド結合(α-1,4結合およびα-1,6結合)で連なった多糖類。アミロペクチンよりも枝分かれが多い。動物のエネルギー貯蔵物質のひとつ。*1*2
主に肝臓や筋肉にグリコーゲン顆粒として貯蓄される。肝臓では60〜80g、筋肉には300g以上のグリコーゲンが貯蔵される。
一部のグリコーゲンは、グリコゲニンと呼ばれるタンパク質を中心にグルコース鎖が結合する以下のような構造を持つとされる。これはプロテオグリカンの一種と言える。*3
体内のグリコーゲンは運動によって減少し、炭水化物を多く含む食事によって増加する。体内のグリコーゲンの総量を増加させて長時間の運動に対応するための方法であるグリコーゲンローディング法はこのことを利用している。*4
肝臓の肝細胞においてグルコース-6-リン酸から生成されるUDP-グルコースがグリコーゲン合成酵素によってグリコーゲンとなり、肝細胞に蓄えられる。肝臓のグリコーゲンを利用する際は逆に、分解によってグルコース-6-リン酸が生成され、それがグルコースに変換されて血液中に放出される。*5*6
筋肉(骨格筋)内のグリコーゲンは骨格筋内においてのみ利用される。筋肉中のグリコーゲンの利用は肝臓の場合とは異なり、グルコース-6-リン酸にまでは分解されるが、筋肉にはこれをグルコースにする酵素が存在しない。したがって、グルコース-6-リン酸が直接解糖系で処理される。*7
筋肉内のグリコーゲン濃度は均一ではなく、豊富に存在するのは筋小胞体のカルシウムチャネル付近であり、グリコーゲンの枯渇によりこのチャネルと横行小管の構造変化がカルシウムイオンを放出するチャネル数を減少させて筋疲労が起こるという報告がある。*8
グリコーゲンの元となる細胞内の糖はインスリンの働きによって取り込まれるため、グリコーゲンの合成にはインスリンの働きが必要。*9
*2西東社 カラー図解 栄養学の基本がわかる事典 川島由起子(2013/4/4): https://amzn.to/2tzGwYt
*3肝グリコゲニン その性質と生合成 Mary C. Gannon, Frank Q. Nuttall, 高田洋樹: https://www.jstage.jst.go.jp/article/tigg1989/8/41/8_41_183/_article/-char/ja/
*4早稲田大学審査学位論文 博士(人間科学)概要書 古典的1週間グリコーゲンローディング処方はファットローディング効果を併せもつ 篠原暁子: http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024802592-00
*5グリコーゲン合成: http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/glycogen.htm
*6信州大学 糖の貯蔵と糖新生: http://zen.shinshu-u.ac.jp/modules/0052002005/main/main.pdf
*7西東社 カラー図解 栄養学の基本がわかる事典 川島由起子(2013/4/4): https://amzn.to/2tzGwYt
*8Hokkaido University of Education Repository: 糖質サプリメント摂取が長時間の間欠的な高強度自転車運動の走行パフォーマンスに与える影響: http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2260
*9各論(6)物質代謝・異化と同化 膵島ホルモン(インスリン・グルカゴン) 糖尿病 メタボリックシンドローム Presented by 岡本、飛永、松本: http://www-sdc.med.nagasaki-u.ac.jp/genetech/genkenbunshi/pdf/H24.1.19.pdf
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