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ホスファチジルセリン(phosphatidylserine : PS)

全ての真核細胞細胞膜に存在するグリセロリン脂質。哺乳類の細胞においては、ホスファチジルコリンホスファチジルエタノールアミンの先端の原子団が置換されて生成される。*1

ホスファチジルセリンの化学構造

神経細胞細胞膜ミエリン鞘の健康状態の維持に必要であり、記憶や学習機能に関わる。

ヒトにおいて、体外から摂取されたホスファチジルセリン(300〜800mg/日)は血液脳関門を通り、神経細胞の老化を防いだことが報告されている。*2

細胞アポトーシス時に、ホスファチジルセリンが細胞内で酸化されて細胞表面に露出するが、この酸化されたホスファチジルセリンがマクロファージによる貪食の標的認識のための分子として働く。*3

ホスファチジルセリンは、アポトーシス細胞が eat me シグナルとして用いている脂質で、死細胞でのみ細胞膜上に露出されることが知られている。マクロファージ上に存在するホスファチジルセリン受容体によって認識され、死細胞の効率的な貪食に貢献している。*4

また、血液凝固因子の複合体(プロトロンビナーゼ複合体Xase複合体)の活性化に必須とされる。*5

*1Sensors 2011, Sensing Phosphatidylserine in Cellular Membranes Jason G. Kay and Sergio Grinstein: http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.271.8895&rep=rep1&type=pdf
*2Phosphatidylserine and the human brain. - PubMed - NCBI: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25933483
*3統合分子医化学分野 | 鳥取大学医学部 医学科 統合分子医化学分野: http://www.med.tottori-u.ac.jp/medbioch/6000.html
*4最近の研究(1) 長田重一研究室|京都大学大学院医学研究科 医学専攻 分子生体統御学講座 医化学分野: http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/nagata/research/recent1.html
*5KAKEN — 研究課題をさがす | 血液凝固第八因子の活性化におけるホスファチジルセリンの役割 (KAKENHI-PROJECT-04671343): https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04671343/

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このページの最終更新日時: 2018-08-19 (日) 07:52:02