HEALTH WORDS / 用語解説
チトクローム
Cytochrome
チトクロームとは、ヘムを補欠分子族として結合し、鉄原子の酸化・還元を繰り返すことによって電子伝達を担うタンパク質の総称である。1 2
チトクロームは生物の細胞内における呼吸や光合成などの重要な代謝プロセスにおいて、中心的な役割を果たしている。2
その分子構造の特性や吸収スペクトルの違いから、チトクロームa、チトクロームb、チトクロームcなどの主要なグループに分類される。2
真核生物のミトコンドリア内膜に存在する呼吸鎖(電子伝達系)において、チトクロームは酵素複合体の一部を構成し、プロトン勾配の形成を駆動することでATPの合成を支えている。2
特にチトクロームcは、ミトコンドリアの外膜と内膜の間にある膜間腔に水溶性タンパク質として存在し、電子伝達系における電子の受け渡しにおいて不可欠な移動体として機能する。2
また、植物や藍藻などの光合成を行う生物においては、葉緑体(クロロプラスト)のチラコイド膜上に存在し、光エネルギーを利用した電子伝達経路を構成している。2
さらに、多くの生物種において薬物代謝や異物解毒に関与するシトクロムP450(P450)と呼ばれる特殊な一群のチトクロームも広く知られており、これらは肝臓などの組織の小胞体に多く存在している。2
このように、チトクロームは多様な化学反応や酸化還元酵素としての機能を有し、生命維持に必須のエネルギー産生システムを支える極めて重要な生体分子である。2