HEALTH WORDS / 用語解説
バンコマイシン耐性腸球菌感染症
Vancomycin-resistant Enterococcal infection
バンコマイシン耐性腸球菌感染症とは、グリコペプチド系抗菌薬であるバンコマイシンに対して耐性を獲得した腸球菌によって引き起こされる感染症である12。
腸球菌はもともとヒトや動物の消化管などに常在する細菌の一種であり、健康な人に対しては通常無害であるが、免疫不全状態にある患者や基礎疾患を有する入院患者などに対して日和見感染症を引き起こすことがある12。
バンコマイシンは他の多くの抗菌薬が効かなくなった薬剤耐性菌に対しても有効な最終兵器的な抗菌薬の一つとして位置づけられてきたが、これに耐性を示す腸球菌が出現したことで臨床上の大きな問題となっている12。
感染経路としては、患者の糞便で汚染された環境や医療従事者の手指を介した接触感染が主たる要因であり、医療機関内での伝播や集団感染(アウトブレイク)を引き起こしやすい特徴を持っている12。
健康な成人が感染しても多くは無症状の保菌者にとどまるが、高齢者や重篤な疾患を持つ患者では敗血症、心内膜炎、腹腔内感染症、尿路感染症などの重篤な臨床症状を呈することがある12。
治療においては、バンコマイシンが無効であるため使用できる抗菌薬が極めて制限され、選択肢が狭まることから治療薬の選定が難航することがある12。
感染の拡大を防ぐための予防策としては、標準予防策の徹底に加えて、接触感染対策としての手洗いの励行、手袋やガウンの着用、および感染患者の個室隔離などの適切な感染対策を実施することが極めて重要である12。