HEALTH WORDS / 用語解説
側頭弁蓋
Temporal operculum
側頭弁蓋とは、ヒトの大脳における側頭葉の最上部、中心前回および中心後回の下部に隣接し、外側溝(シルヴィウス溝)の下唇を形成する脳回および脳皮質領域のことである。1
解剖学的に、側頭弁蓋は前頭葉および頭頂葉の弁蓋部とともに、外側溝の深部に位置する島(島回)を覆い隠す構造をなしている。2
この領域は大脳皮質のなかでも言語野や聴覚野の周辺に位置しており、特に優半球(通常は左半球)における側頭弁蓋は、言語の理解や表出に関連するブローカ野やウェルニッケ野といった重要な機能野と密接な解剖学的・神経回路的連絡を有している。3
また、側頭弁蓋の深部には聴覚情報の処理に関与する横側頭回(ヘッセル回)が存在しており、一次聴覚野からの情報を統合する高次聴覚領域としての役割も担っている。3
臨床医学の分野において、側頭弁蓋を含む領域は側頭葉てんかんなどの焦点性発作の起源となりうる部位の一つとして知られており、発作時には聴覚幻覚や特異な感覚異常、あるいは言語障害などを引き起こすことがある。3
さらに、脳血管障害や脳腫瘍、あるいは外傷性脳損傷などによってこの領域が損傷を受けた場合には、言語の流暢性低下や受容性言語障害、聴覚的な認知機能の低下といった多彩な高次脳機能障害が発現することが臨床的に確認されている。1