HEALTH WORDS / 用語解説
分子設計
Molecular Design
分子設計とは、特定の機能や性質を持つ分子を、理論的または計算化学的手法を用いて合理的に構築・創出するプロセスである。1
分子設計は、医薬品開発、材料科学、化学などの幅広い分野において中核的な役割を果たしている。従来の分子探索が主に実験的な試行錯誤に依存していたのに対し、分子設計では量子化学計算や分子力学法などの計算機化学を用いることで、目的とする化合物の立体構造や電子的性質をあらかじめ予測し、効率的に望みの特性を持つ物質をデザインすることが可能となる。1
医薬品開発の領域においては、標的となるタンパク質などの生体高分子の立体構造に基づき、その受容体に特異的に結合して薬理作用を示すリガンドを設計する構造ベース創薬(SBDD)が分子設計の代表例として挙げられる。コンピュータを用いた分子モデリングにより、化合物の親和性や代謝安定性を予測し、リード化合物の最適化を行っていく。これにより、合成すべき化合物の数を大幅に削減し、開発期間の短縮とコスト削減を実現することができる。1
さらに、機能性材料の分野においても分子設計は不可欠である。高分子材料、有機半導体、触媒などの開発において、所望の物性を発揮するための分子構造を逆算的に導き出すアプローチが採られる。近年の人工知能(AI)や機械学習の急速な発展に伴い、膨大な化学空間から効率的に新規分子を探索するマテリアルズ・インフォマティクスとの融合が進んでおり、分子設計の手法はますます高度化している。2
参考文献・出典
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906019241920703 ↩1 ↩2 ↩3
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202202008892419131 ↩