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HEALTH WORDS / 用語解説

機能性甲状腺結節

functional thyroid nodule

機能性甲状腺結節とは、甲状腺内においてホルモン産生が自律化し、下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)の制御を受けずに甲状腺ホルモンを過剰に分泌する結節のことである。1 プランマー病や中毒性腺腫とも称される病態であり、アイソトープ診断において放射性ヨウ素やテクネチウムを取り込む「熱い結節(hot nodule)」として描出される特徴を持つ。2

この疾患の最大の病態生理学的特徴は、甲状腺ホルモンの過剰産生による甲状腺機能亢進症を引き起こす点にある。1 通常の甲状腺結節の多くは非機能性でありホルモンを産生しないが、機能性結節ではTSH受容体やGsα蛋白をコードする遺伝子の体細胞変異が原因となり、アデニル酸 cyclase系が恒常的に活性化されることでホルモン合成が促進される。3 これにより、周囲の正常な甲状腺組織からのホルモン分泌はネガティブフィードバック機構によって抑制され、血中TSH濃度は低値を示す。1

臨床症状としては、動悸、頻脈、手指振戦、体重減少、発汗過多、易怒性などの一般的な甲状腺機能亢進症の症状がみられる。1 しかし、バセドウ病で見られるようなびまん性の甲状腺腫大や眼球突出、あるいは抗TSH受容体抗体(TRAb)の陽性化は原則として認められない点が鑑別上の重要なポイントとなる。4 触診や超音波検査では、甲状腺の特定の部分に単発性の腫瘤(結節)として確認されることが多い。5

診断においては、血中TSH、遊離T3、遊離T4の測定による甲状腺機能の評価が必須である。4 さらに、甲状腺シンチグラフィを施行し、当該結節への放射性医薬品の集積が亢進していること、および周囲組織の集積が抑制されていることを確認することで確定診断に至る。2 機能性甲状腺結節は、悪性腫瘍(甲状腺癌)である確率が非常に低いことが知られており、大部分が良性腫瘍である濾胞腺腫としての性質を有する。6

治療方針としては、甲状腺機能亢進症の症状を改善し、ホルモン過剰状態を正常化させるためのアプローチが採られる。1 薬物療法として抗甲状腺薬(チアマゾールやプロピルチオウラシルなど)が用いられることがあるが、結節自体が消失することは稀であるため、根治的治療としては放射性ヨウ素内用療法(I-131治療)や手術療法(甲状腺部分切除術または腺腫切除術)が選択されることが多い。7 特に放射性ヨウ素は過剰にホルモンを産生する結節に選択的に取り込まれて破壊するため、機能性結節に対して高い有効性を示す。7

参考文献・出典

  1. 日本内分泌学会: https://www.endocrinology.jp/modules/glossary/content0271.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  2. 日本核医学会: https://www.jsnm.org/glossary/hot-nodule ↩1 ↩2
  3. 国立情報学研究所: https://ci.nii.ac.jp/naid/110003150822 ↩
  4. 日本甲状腺学会: https://www.japanthyroid.jp/doctor/kensa/tsh.html ↩1 ↩2
  5. 日本超音波医学会: https://www.jsum.or.jp/committee/diagnostic/guideline/thyroid.html ↩
  6. 日本内分泌外科学会: https://www.jses.gr.jp/general/thyroid02.html ↩
  7. 日本核医学会: https://www.jsnm.org/nucmed/radioiodine_therapy.html ↩1 ↩2