HEALTH WORDS / 用語解説
発生過程
Developmental process
発生過程とは、一つの受精卵が細胞分裂を繰り返して多細胞生物へと形作られていく一連の生物学的プロセスを指す。1 この過程には、細胞の増殖だけでなく、細胞分化、形態形成、細胞死などの複雑な事象が秩序立って組み込まれている。1
発生の初期段階では、受精卵が卵割と呼ばれる急速な細胞分裂を経て胚となる。1 卵割が進むにつれて桑実胚や胞胚が形成され、その後原腸胚形成(ガストルレーション)と呼ばれる大規模な細胞の移動が起こる。1 この原腸胚形成により、将来の組織や器官の基礎となる外胚葉、中胚葉、内胚葉という胚葉が分化する。2
胚葉の形成後には、神経管の形成に代表される器官形成が進む。神経管は外胚葉から誘導され、将来の中枢神経系である脳や脊髄へと発育する。1 同時に、中胚葉からは体節が形成され、骨格筋や真皮などの組織へと分化していく。内胚葉は消化管や呼吸器などの内部器官の上皮組織を構成するようになる。1
こうした発生過程の進行において極めて重要な役割を果たするのが遺伝子発現の厳密な時間的・空間的制御である。転写因子などのタンパク質が特定の細胞で働くことで、細胞の運命が決定される。2 また、細胞間相互作用やシグナル伝達物質(モルフォゲンなど)を介した細胞間の情報交換が、三次元的な形態形成を正確に導く基盤となっている。1 発生過程の異常は、先天異常や形態異常を引き起こす原因となるため、その分子メカニズムの解明は医学や発生生物学における重要な研究課題である。2