HEALTH WORDS / 用語解説
筋肉合成
Muscle Protein Synthesis
筋肉合成とは、生体内においてアミノ酸から骨格筋のタンパク質が構築される同化代謝プロセスのことである。1
生物学および医学の分野において、成人の骨格筋量はタンパク質合成とタンパク質分解の動的なバランスによって常時維持されている。2
この代謝均衡において筋肉合成の速度がタンパク質分解の速度を上回った場合に、正のタンパク質バランスが成立して筋肉肥大が引き起こされる。1
逆にタンパク質分解が合成を上回る状態が継続すると、筋萎縮やサルコペニアといった筋肉量の減少が生じることとなる。2
分子生物学的なメカニズムとしては、細胞内シグナル伝達経路であるmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)経路が、筋肉合成の主要な調節因子として機能している。3
このmTOR複合体は、栄養素の摂取状況や物理的な運動負荷、およびインスリンなどのホルモン刺激によって強力に活性化される。3
特に食事からのアミノ酸、とりわけ必須アミノ酸であるロイシンの血中濃度上昇が、筋肉合成を誘導する重要なトリガーとなることが明らかにされている。1
さらに、レジスタンストレーニングなどの物理的負荷が骨格筋に加わることによって、局所的な筋線維の微細損傷や機械的受容器を介したシグナルが伝達される。2
これにより、mTORおよびその下流にあるリボソームタンパク質S6キナーゼ(S6K1)や4E-BP1といった翻訳調節因子がリン酸化され、タンパク質の翻訳効率が飛躍的に高まる。3
運動と栄養摂取の相乗効果によって、骨格筋内での筋肉合成速度は数時間にわたって最大化されることが知られている。1
医療やリハビリテーションの領域では、加齢に伴う筋力低下や、長期臥床に起因する廃用性筋萎縮を防ぐための介入ターゲットとして、筋肉合成の促進メカニズムが臨床的に極めて重視されている。2