HEALTH WORDS / 用語解説
肩甲上靭帯
Suprascapular ligament
肩甲上靭帯とは、肩甲骨の肩甲切痕を橋渡しするように架かる細長い線維性の靭帯である。1 この靭帯は肩甲上切痕靭帯とも呼ばれ、肩甲骨の上縁にある肩甲切痕を肩甲上切痕という骨孔(または管)へと変化させる構造物である。1
解剖学的な位置関係として、肩甲上靭帯は肩甲骨上縁の烏口突起の根元近くから肩甲切痕の外側縁にかけて付着している。1 多くの場合においてこの靭帯は単なる結合組織の帯であるが、個体差によっては一部が骨化している場合や、複数のバンド状に分かれている場合など、形態的な変異が見られることもある。2
肩甲上靭帯と肩甲切痕によって形成される骨孔は、肩甲上神経が肩甲骨の後面へと通過するための重要な通路となっている。2 通常、肩甲上動脈および肩甲上静脈などの血管系は、この肩甲上靭帯の腹側(上方)を乗り越えるようにして通過するのに対し、肩甲上神経は靭帯の深部(下方)にある肩甲切痕を通るのが一般的な解剖学的特徴である。2
しかしながら、この肩甲上靭帯の肥厚や骨化が生じた場合には、その下方を通る肩甲上神経が物理的に圧迫されるリスクが高まる。2 このような神経圧迫は、肩甲上神経麻痺や棘下筋・棘上筋といった肩関節周辺の筋肉の萎縮、さらには肩関節の後面における慢性的な疼痛を引き起こす原因となり得るため、整形外科や解剖学の領域において臨床的に重要な構造として注目されている。2
参考文献・出典
- 解剖学用語委員会: https://www.AnatomicalTerms.info/ja/terms/suprascapular-ligament/ ↩1 ↩2 ↩3
- Anatomical Science International: https://link.springer.com/article/10.1007/s12565-015-0294-y ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5