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HEALTH WORDS / 用語解説

タンパク質キナーゼC

Protein Kinase C

タンパク質キナーゼC(PKC)とは、細胞内におけるシグナル伝達経路の中心的な役割を担う、リン酸化酵素(キナーゼ)の一種である。1

PKCファミリーは、セリンおよびスレオニン残基をリン酸化する能力を持ち、細胞の増殖、分化、アポトーシス、分泌、遺伝子発現などの多様な生理学的プロセスの制御に関与している。2

構造的には、PKCの分子は保存された触媒ドメインと、多様な活性化因子に応答する調節ドメインから構成されている。1

その調節機構や活性化要件の違いに基づき、PKCアイソザイムは伝統的に従来型(classical/conventional)、新規型(novel)、非定型(atypical)の3つのサブファミリーに大別される。2

従来型のPKCアイソザイムは、カルシウムイオン($Ca2+$)およびジアシルグリセロール(DAG)の両方によって活性化される特性を持つ。1

これに対して新規型PKCアイソザイムは、ジアシルグリセロールには応答して活性化するものの、カルシウムイオン非依存的に働くという特徴を備えている。1

さらに非定型PKCアイソザイムは、カルシウムイオンおよびジアシルグリセロールのいずれの依存性も持たず、他の脂質因子やタンパク質間相互作用によって制御を受ける。2

細胞外からのホルモン、神経伝達物質、成長因子などの刺激が受容体を介して細胞膜上のホスホリパーゼCを活性化させると、ホスファチジルイノシトール二リン酸が分解されてジアシルグリセロールやイノシトール三リン酸が産生される。1

産生されたジアシルグリセロールやカルシウムイオンの増加は、細胞質に存在するPKCを細胞膜へと移行させ、そこで酵素活性を誘導する主要なトリガーとなる。2

活性化したPKCは、下流の様々な標的タンパク質をリン酸化することで、多様な細胞応答の連鎖を引き起こす。1

PKCの機能異常や過剰な活性化は、がん化、腫瘍の進展、糖尿病性合併症、心血管疾患、神経変性疾患などの様々な病態の発生や進展に深く関与していることが知られている。2

そのため、PKCの各アイソザイムを標的とした特異的な阻害剤や活性化剤の開発が進められており、新薬の創薬ターゲットとしても重要な位置を占めている。1

参考文献・出典

  1. NBDC生物データベース統合LDI: https://integbio.jp/dbcatalog/record/nbdc00570 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
  2. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907021200155209 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5