HEALTH WORDS / 用語解説
テロメラーゼ複合体
Telomerase complex
テロメラーゼ複合体とは、真核生物の染色体末端にあるテロメア配列を伸長する働きを持つリボ核タンパク質の複合体である。1
テロメラーゼ複合体は、触媒サブユニットである逆転写酵素(TERT:telomerase reverse transcriptase)と、その鋳型として機能するRNA成分(TERCまたはTR:telomerase RNA component)を必須の構成要素として含んでいる。2
真核生物のDNA複製メカニズムの特性上、直線状DNAを持つ染色体は細胞分裂を繰り返すごとに末端部分が短縮していくという問題、いわゆる末端複製問題に直面する。3
テロメラーゼ複合体はこの染色体末端のテロメアに結合し、自らが保持するRNAを鋳型としてDNA鎖を新たに合成・付加することで、テロメアの短縮を防ぎあるいは修復する役割を担う。1
正常な体細胞の大部分においてはテロメラーゼ複合体の発現が厳しく抑制されており、細胞分裂の進行とともにテロメアは徐々に短くなり、限界に達すると細胞老化やアポトーシスが引き起こされる。3
一方で、ヒトのがん細胞や多くの幹細胞、生殖細胞などにおいては、このテロメラーゼ複合体が活性化あるいは高発現を維持しており、テロメアの長さを一定に保つことで無限の細胞増殖能を獲得・維持している。2
このようにテロメラーゼ複合体の活性制御機構は、細胞の寿命、老化現象、およびがん化のプロセスと密接に関係しているため、分子生物学や医学の分野において極めて重要な研究対象となっている。3
参考文献・出典
- 生命科学データベースプロジェクト 統合TV: https://togotv.dbcls.jp/hbb.supr?id=hbb_2016_01 ↩1 ↩2
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902220199015949 ↩1 ↩2
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902070381488167 ↩1 ↩2 ↩3