ホームニトロクロロホルム

HEALTH WORDS / 用語解説

ニトロクロロホルム

ニトロクロロホルムとは、別名をクロルピクリンとも呼ばれ、化学式 $CCl_3NO_2$ で表される有機化合物であり、強い催涙性と毒性を有する化学物質である12。常温では無色から黄色の液体であり、特異な刺激臭を持つ揮発性物質として知られている1。

歴史的には、第一次世界大戦中において化学兵器(窒息剤や催涙剤)として検討・使用された経緯を持つが、現代においては主に農業分野における土壌消毒剤や殺菌剤、殺虫剤としての農薬用途に広く利用されている2。土壌中の線虫や病原菌、雑草の種子などを効果的に駆除することが可能であるため、連作障害の防止や土壌のくん蒸処理に不可欠な薬剤として扱われている2。

人体に対する毒性および健康被害としては、その強い催涙性により眼の粘膜を激しく刺激し、大量の涙を誘発するほか、皮膚や呼吸器系に対しても重篤な刺激性を示す1。高濃度の蒸気を吸引した場合には、上気道の炎症を引き起こすだけでなく、肺水腫などの深刻な呼吸器障害を誘発する危険性があるため、取り扱いに際しては厳重な安全管理が求められる1。

労働安全衛生法においては政令で定める危険物・有害物としての規制対象に含まれており、作業環境における許容濃度や管理濃度が厳しく定められている1。また、毒物及び劇物取締法においても劇物に指定されており、製造、貯蔵、運搬、使用の各段階において適切な法規制と安全対策の遵守が義務付けられている1。

作業時に使用する場合は、専用の防毒マスク、保護眼鏡、保護手袋などの適切な個人用保護具を必ず着用し、局所排気装置の設置された環境や換気が十分に行われる場所で取り扱う必要がある1。万が一、吸入や接触による中毒症状が疑われる場合には、速やかに汚染された衣類を脱ぎ、清浄な空気の場所へ移動させるとともに、直ちに医師の診断および治療を受けることが必要である1。

参考文献・出典

  1. 職場のあんぜんサイト: https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/76-06-2.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
  2. 農薬名前事典: https://www.acis.famic.go.jp/syouroku/chloropicrin/index.htm ↩1 ↩2 ↩3