ホームリボスイッチ

HEALTH WORDS / 用語解説

リボスイッチ

Riboswitch

リボスイッチとは、主にmRNAの非翻訳領域に存在するRNAの構造であり、特定の代謝物などのリガンドを直接認識して結合することにより、自身が折りたたみ構造を変化させて転写や翻訳の遺伝子発現を制御する機構のことである。1

リボスイッチは多くの場合、メッセンジャーRNAの5'側非翻訳領域(5'-UTR)に位置しており、標的とする低分子やイオンなどのリガンドが特異的に結合する「アプタマー領域」と、その結合に応答してRNAの立体構造を変化させ遺伝子発現の調節を行う「発現プラットフォーム領域」の2つの機能ドメインから構成されている。2

原核生物を中心に広く見出されており、アミノ酸やビタミン、補酵素、ヌクレオチドなどの細胞内代謝物の濃度を自己制御的に感知・調整する極めて簡便かつ効率的な遺伝子発現制御システムとして機能している。1

リガンドが結合していない状態のRNA構造から、特定の代謝物が結合して構造変化を引き起こすことで、RNAポリメラーゼによる転写の途中で終結を誘導したり、あるいはリボソームが開始コドンへアクセスするのを妨げて翻訳を抑制したりするなど、多様な機構を介してタンパク質の合成量をダイナミックに調節する。2

このようにタンパク質因子を介さずRNA分子単体でシグナルを受容して遺伝子発現のオン・オフを切り替える性質は、RNAワールド仮説における原始的な遺伝子制御の痕跡を残すものとしても分子生物学の分野で注目を集めており、抗菌薬の新しい標的としての応用研究も進められている。1

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902251016668798 ↩1 ↩2 ↩3
  2. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002220410492822 ↩1 ↩2