HEALTH WORDS / 用語解説
下前頭回弁蓋部
pars opercularis of inferior frontal gyrus
下前頭回弁蓋部とは、大脳の前頭葉にある下前頭回の脳回の一部であり、外側溝の上方に位置し前後の脳溝に囲まれた構造である。1
解剖学的には、下前頭回は前頭葉の外側面において中心前溝の前方に位置し、下前頭溝と外側溝の前枝および上行枝によって、眼窩部、三角部、弁蓋部の3つの部分に分類される。1
その中で下前頭回弁蓋部は、外側溝の上行枝と中心前溝の下部との間に挟まれた領域を指し、島皮質を覆う蓋(オペルクラム)の一部を構成している。1
機能的な側面において、左半球の下前頭回弁蓋部は、隣接する三角部とともに言語中枢であるブローカ野を構成する重要な領域として広く知られている。2
ブローカ野は主として音声言語の産生や言語表出に関与しており、この領域が損傷を受けると運動性失語(ブローカ失語)などの言語障害が生じることが臨床的に知られている。2
また、近年の神経科学や脳機能イメージングの研究においては、下前頭回弁蓋部は言語機能だけでなく、手や口などの身体部位の運動制御や、他者の行動を観察する際に活性化するミラーニューロンシステムの構成要素としても注目を集めている。2
このように、下前頭回弁蓋部は、ヒトの円滑なコミュニケーションや認知機能を支える脳の高次機能において、形態学的および機能的に極めて重要な役割を担っている領域である。2