HEALTH WORDS / 用語解説
交絡
Confounding
交絡とは、疫学や統計学において、目的変数と説明変数の双方に関連する未知または未調整の第三の変数(交絡因子)が存在することにより、変数間の真の因果関係がゆがめられる現象のことである。1 疫学研究や臨床試験において、曝露と疾病の発生との関連を評価する際、結果に影響を与える因子が曝露群と非曝露群の間で不均等に分布している場合に発生する。2
例えば、コーヒーの飲用と肺がんの発生に関する研究を行う場合を考える。 この研究において喫煙は交絡因子となり得る。 なぜなら、喫煙は肺がんの強力な危険因子であると同時に、コーヒーの飲用習慣とも関連していることが多いからである。 もし喫煙という因子を考慮せずに分析を行ってしまうと、コーヒーの飲用が肺がんのリスクを高めているかのような誤った結論が導き出されてしまうおそれがある。 このように、交絡が存在すると、曝露と疾患の間の因果関係を正確に評価することが困難になる。1
交絡を制御(調整)するための方法は、研究の計画段階(デザイン時)と解析段階に大別される。 研究計画段階における代表的な対策には、ランダム化(無作為化)、制限、マッチング(対応)がある。 ランダム化は、介入研究において交絡因子が群間で均等に分散するように対象者を割り付ける手法であり、未知の交絡因子も含めて制御できる最も強力な手段とされる。 制限は、研究対象集団を特定の条件(例えば非喫煙者のみなど)に限定することで、その因子の影響を排除する方法である。 マッチングは、交絡因子の分布が群間で等しくなるように対象者を選定する手法である。2
一方、データの解析段階における交絡の調整には、多変量解析(多変量回帰分析など)や層別分析が用いられる。 層別分析では、データを交絡因子の層に分割してそれぞれの層で関連を評価し、最終的に統合する。 多変量解析では、統計モデルに交絡因子を説明変数として組み込むことで、他の変数の影響を統計的に調整しつつ、関心のある曝露の効果を推計する。 これらの手法を適切に用いることで、交絡の影響を軽減し、より妥当性の高い研究結果を得ることが可能となる。2
参考文献・出典
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/files/000155255.pdf ↩1 ↩2
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/01/dl/s0127-10j.pdf ↩1 ↩2 ↩3