HEALTH WORDS / 用語解説
呼吸メカニズム
Respiratory Mechanism
呼吸メカニズムとは、生体が大気と肺の間で酸素と二酸化炭素を交換するための物理的および生理的な一連の換気およびガス交換の過程を指す。1
生体における呼吸の主要な目的は、細胞レベルでの代謝に必要な酸素を血液中に取り込み、エネルギー産生の副産物として生じた二酸化炭素を体外へ排出することである。2
この一連のメカニズムは、主に外気を取り込む外呼吸と、血液と組織の間で行われる内呼吸、そして物理的な空気の出し入れを行う肺換気に大別される。1
肺換気は、胸郭の容積を変化させることによる圧力勾配の発生を基本原理としている。1
吸息時には、主たる呼吸筋である横隔膜が収縮して下方へ移動するとともに、肋間筋の働きによって肋骨が上方および外側へ引き上げられる。1
これにより胸腔内および肺の容積が拡大し、内部の気圧(胸腔内圧および肺内圧)が大気圧よりも低くなるため、空気が自然に気道を通って肺胞へと流れ込む。1
反対に呼息時は、吸息筋が弛緩することで胸郭と肺が持つ弾性収縮力により元の大きさに戻り、肺内圧が大気圧よりも高くなることで体内の空気が外へ押し出される。1
安静時の呼息は主にこの弾性収縮といった受動的なプロセスで行われるが、運動時などの換気量が増加する状況では、腹筋群などの呼息筋が活動して能動的な呼気が行われる。1
肺胞に到達した空気と、肺胞毛細血管を流れる血液の間では、分圧の差を利用したガス交換が行われる。2
酸素分圧の高い肺胞内の酸素は、呼吸膜を透過して分圧の低い毛細血管中の血液へ拡散し、ヘモグロビンと結合して全身の組織へと運搬される。2
他方、組織代謝によって生じた二酸化炭素は血液中から分圧の低い肺胞へと拡散し、呼気として体外へ排泄される。2
これらの呼吸運動およびガス交換の速度や深さは、脳幹に存在する呼吸中枢によって不随意にコントロールされている。1
呼吸中枢は、動脈血中の二酸化炭素分圧や水素イオン濃度(pH)、さらには酸素分圧の変化を化学受容器を通じて感知し、呼吸筋への神経出力を調節することで、生体の内環境を一定に保つ役割を果たしている。1