HEALTH WORDS / 用語解説
小脳テント
Tentorium cerebellum
小脳テントとは、大脳の後頭葉と小脳の上面を隔てている、硬膜がテント状に突起した堅い結合組織の板状構造である。1 頭蓋腔内を分葉し、脳組織の重量を支えるとともに、頭部外傷時などの脳の過度な移動を制限する重要な役割を担っている。2
小脳テントは硬膜の内面から水平方向へ突出して形成されており、その外側縁は頭蓋骨の後頭骨および側頭骨の溝に付着している。3 このテント状の構造物は中央に向かって緩やかに傾斜しており、その前縁にはテント切痕と呼ばれる遊離縁が存在し、ここを中脳が通過している。4
脳外科や脳神経外科学の領域において、小脳テントは頭蓋腔を天幕上と天幕下の2つの大きな空間に区分けするための重要な解剖学的基準となる。5 天幕上には大脳半球が位置し、天幕下には小脳および脳幹(橋、延髄)が収められている。3
病理学的な観点では、天幕上に硬膜外血腫、硬膜下血腫、脳腫瘍などの占拠性病変が発生して頭蓋内圧亢進が生じた際、脳組織が小脳テントのテント切痕を通じて下方へ押し出される現象が起こる。5 この病態は脳ヘルニアの一種である小脳テントヘルニア(テント切痕ヘルニア)と呼ばれ、動眼神経の圧迫による瞳孔散大や、脳幹の圧迫に伴う意識障害などの重篤な神経症状を引き起こす臨床的に極めて重要な病態である。3
参考文献・出典
- 日本人体解剖学: https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?978-4-307-00341-4 ↩
- 解剖学講義: https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524226061/ ↩
- 南山堂医学大辞典: https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524204564/ ↩1 ↩2 ↩3
- 標準解剖学: https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/33159 ↩
- 標準脳神経外科学: https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/99092 ↩1 ↩2